NVIDIA GR00T(Generalist Robot 00 Technology)は、NVIDIAが開発するヒューマノイドロボット向け基盤モデルです。2024年3月のGTCで発表され、2025年にはオープンソースのGR00T N1.6がリリースされました。
本記事では、GR00Tのアーキテクチャ、Isaac Simとの連携、業界パートナーシップ、そしてロボティクス開発者が知るべき実践的な情報を解説します。
NVIDIA GR00Tとは

GR00Tは、汎用目的のヒューマノイドロボット基盤モデルを開発するためのNVIDIAの研究イニシアチブ兼開発プラットフォームです。
名称の由来
GR00Tは「Generalist Robot 00 Technology」の略で、汎用ロボットの「ゼロ番」技術を意味します。映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のグルートにちなんでいます。
プロジェクトの目的
ロボティクス研究開発を加速するための汎用ロボット基盤モデルとデータパイプラインの開発が主目的です。NVIDIAのGPUコンピューティング技術を活かし、ロボット学習を飛躍的に効率化します。
GR00T N1の革新的アーキテクチャ

2025年3月のGTC 2025で発表されたGR00T N1は、世界初のオープンで完全カスタマイズ可能なヒューマノイドロボット基盤モデルです。
デュアルシステム設計
人間の認知システムに着想を得た2層構造を採用しています:
- System 1(高速思考): 反射的・直感的な動作モデル。人間の反射神経に相当
- System 2(低速思考): 熟考型の意思決定モデル。視覚言語モデル(VLM)により環境を理解し、行動計画を策定
動作フロー
System 2が環境と指示を分析して行動計画を作成し、System 1がそれを連続的なロボット動作に変換します。この分離により、高度な推論と素早い実行を両立しています。
GR00T N1.6の最新機能

2025年9月のCoRL(Conference on Robot Learning)で発表されたN1.6は、オープンソースのVLA(Vision-Language-Action)モデルとして提供されています。
マルチモーダル入力
言語と画像の両方を入力として受け付け、多様な環境でのマニピュレーションタスクを実行します。クロスエンボディメント設計により、異なるロボット形態にも適応可能です。
Cosmos Reason統合
最新版では、NVIDIA Cosmos Reasonが統合されています。これはPhysical AI向けに構築されたカスタマイズ可能な推論VLMで、以下を実現します:
- 曖昧な指示をステップバイステップの計画に変換
- 事前知識、常識、物理法則を活用した推論
- 新しい状況への汎化能力
Isaac Simとの連携

GR00TはNVIDIAのロボティクスシミュレーションプラットフォームIsaac Simと密接に連携しています。
Isaac Lab
Isaac Simをベースに構築された軽量かつ高性能なアプリケーションで、数千の並列シミュレーションを実行可能。GPU加速により、ロボット学習の効率を飛躍的に向上させます。
Newton物理エンジン
Google DeepMindおよびDisney Researchとの共同開発によるオープンソース物理エンジン。NVIDIA Warpフレームワーク上に構築され、以下と互換性があります:
- Google DeepMindのMuJoCo
- NVIDIA Isaac Lab
業界パートナーシップ

GR00Tは世界中の主要ヒューマノイドロボット開発企業に採用されています。
早期アクセスパートナー
- Agility Robotics: Digitの開発に活用
- Boston Dynamics: Atlasの学習に適用
- Mentee Robotics: 新世代ロボット開発
- NEURA Robotics: 汎用ロボット開発
評価中のパートナー
AeiROBOT、Franka Robotics、LG Electronics、Lightwheel、Solomon、Techman Robot、UCRなどが汎用ロボット構築のためにGR00T Nモデルを評価中です。
オープンソース戦略

NVIDIAはGR00Tをオープンソースとして公開し、エコシステムの拡大を図っています。
GitHubでの公開
NVIDIA/Isaac-GR00TリポジトリでGR00T N1.6のコードが公開されています。研究者や開発者は自由にカスタマイズ可能です。
Hugging Face連携
NVIDIAはHugging Faceと提携し、IsaacとGR00T技術をLeRobotオープンソースフレームワークに統合。NVIDIAの200万人のロボティクス開発者とHugging Faceの1,300万人のAIビルダーを結びつけます。
開発者向け実践ガイド

GR00Tを活用したロボット開発の始め方を解説します。
必要環境
- ハードウェア: NVIDIA GPU(RTX 30シリーズ以上推奨)
- ソフトウェア: Isaac Sim、Python 3.8以上
- フレームワーク: PyTorch、NVIDIA Omniverse
始め方
- NVIDIA Developer登録
- Isaac Simのインストール
- GitHubからGR00T N1.6をクローン
- サンプルコードでの動作確認
- カスタムタスクの学習
今後の展望

GR00Tは急速に進化を続けています。
技術ロードマップ
- 2025年後半: N2.0のプレビュー(さらなる汎化能力の向上)
- 2026年: エッジデバイス向け軽量版リリース
- 2027年以降: 完全自律型ロボットへの展開
Physical AI時代の到来
NVIDIAはGR00Tを通じて「Physical AI」の実現を目指しています。言語モデルがテキストを理解するように、ロボットが物理世界を理解し行動する未来が近づいています。
まとめ

NVIDIA GR00Tは、ヒューマノイドロボット開発の民主化を推進する画期的なプラットフォームです。デュアルシステムアーキテクチャ、Isaac Simとの連携、オープンソース戦略により、ロボティクス開発者は最先端のAI技術に簡単にアクセスできます。
Boston DynamicsやAgility Roboticsなどの大手企業から、スタートアップまで幅広く採用が進んでおり、今後のロボティクス産業の標準プラットフォームになる可能性を秘めています。
https://ainow.jp/figure-ai-guide/

https://ainow.jp/embodied-ai-guide/


