AI技術が急速に発展する中、経営者はどのようにしてAIを活用し、生産性向上や事業成長を実現しているのでしょうか。
AIに関してのインプットをしているのか聞いたところ、「AIのインプットする余裕がない、インプットの仕方がわからない、何に活用すればいいのかわからない」とお話をいただいたため、経営者・事業責任者の方など普段仕事で忙しい方にわかりやすいような記事を書いていきます。
前提
- 年商10億円前後
- 従業員約40名の企業を経営
AINOW編集部に関わっている経営者の一日を紹介し、具体的なAIツールの活用方法や業務効率化のポイントを解説します。
この記事の目的
- AIサービスは、何に使えばいいかを理解できる
- 具体的なAIツールを理解できる
経営者が日常の業務や仕事の中で「どのようにAIツールを使っていくのか、AIツールを使ってどんな結果や成果を得たいのか」を含めてご紹介します。
上場企業でもAIを活用した会社は増えている
AIを活用した事例や、社長っぽいAIを作る事例などさまざまなケースが増えています。
「AI社長」サービスとは?
AI技術の進化に伴い、さまざまな分野でAIが活用されています。特に注目されるのが、株式会社THAが提供する「AI社長」というサービスです。このサービスは、企業の社長の知識や経験をAIに学習させ、従業員のサポートを行うことを目的としています。特に中小企業において、経営者と従業員の距離を縮め、組織の自走を促進することを目指しています。
AI社長の導入には、初期開発費用が約300万円かかり、月額利用料金は数万円から始まります。大規模利用の場合は別途相談が必要で、月額60万円から200万円前後の運用コストが発生することが一般的です。このような費用は、企業の特性やニーズに応じてカスタマイズされるため、導入企業にとってはコストパフォーマンスの高い投資となる可能性があります。
また、AI社長は「分身AI」としての機能も持ち、経営者の意思決定や情報共有をサポートします。これにより、従業員は気軽に相談できる環境が整い、組織全体のコミュニケーションが円滑になります。
オルツ社の事例
AI技術を活用した「クローン」システムを開発し、2024年10月に東京証券取引所のグロース市場に上場しました。特に「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の分野で注目されています。このようなAI技術の進化は、今後も多くの企業に新たな価値を提供し続けるでしょう。
ノジマ社の事例
ノジマは、社長の分身を生成AIを用いて開発し、社内向けの人材育成やコミュニケーションツールとして活用しています。この取り組みは、従業員が社長の考え方に触れながら成長することを目的としています。
それでは本題の、経営者の具体的なAI活用事例についてご紹介していきます。
AIで情報収集を効率化する朝の習慣
一日は、朝の情報収集から始まります。
最新のAI技術や経営に関するトレンドを把握するため、SNSや専門サイトを活用して関連する投稿や記事をチェックします。
AIでの横断検索・調べ物はGenspark一択
特に、経営についての新しい情報や気になるAIツールやサービスの使い方やメリットについては、Gensparkで細かい競合サービス・比較サービスなども含めて詳細を調査します。これにより、市場の動向や競合の状況を迅速に把握し、戦略立案に活かしています。
また、プライベートな内容の検索なども含めてもうGensparkなしではいられない状況になっています。笑
AI横断検索サービスは他にもFeloやPerplexyがありますが、AIを活用した情報収集ツールは、膨大な情報の中から必要なものだけを効率的に抽出します。
キーワードや興味のあるテーマを設定することで、関連するニュースや記事が自動的にフィードされます。これにより、時間を有効に使いながら、重要な情報を見逃すことなくキャッチできます。
数値分析と施策確認による戦略立案
次に、マーケティング、カスタマーサクセス、セールスなど各部門の数値を確認します。ただ数字を眺めるだけでなく、AIを活用してデータを分析し、施策の進捗状況や効果を評価します。
これにより、問題点や改善点を素早く特定し、的確な指示や戦略の修正を行うことができます。AIによるデータ分析は、経営判断のスピードと精度を大幅に向上させます。
何らかの業務・施策を動かすときには、Difyワークフローや社内向けのチャットボットを作成して各セクションの業務効率化をしています。
例えば、マーケティングでは広告キャンペーンの成果をリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて戦略を調整します。
カスタマーサクセスでは、顧客満足度や解約リスクを予測し、先手を打った対応が可能になります。セールスチームでは、商談の進捗状況や成約率を分析し、重点的にアプローチすべき顧客を明確にします。これらの数値分析は、AIツールの活用により短時間で正確に行われます。
SQLやスプレッドシートの関数を組み合わせたデータ分析での活用
SQLを書いてWebサービスなどのプロダクトの利用されている数値、SalesforceやHubSpotなどのSFA/CRMツールのデータをインポートしてスプレッドシートなどでデータ分析するケースがあります。
SQLはデータが保存されているテーブルを複数用いたデータ分析をするケースがあり、複雑なSQLを書こうとすると手間がかかります。その場合にヒントとなるデータテーブルやカラムを投げておき、書いてもらうというのがおすすめです。また、スプレッドシートの関数やGASについても複雑なものになってくると一々行列を考えて書く必要があり、面倒ですよね。
その場合でも共通してAIに聞いてしまうとほんと数十秒程度で全部のコードを完結することができます。関数やSQLがわからないという方でもすぐにデータ分析を始めることができるので慣れていない人は早めに自分でデータ取得からデータ分析できるようになることをお勧めします。
プロダクトや事業の分析ができないと事業グロースに直接的にコミットできない場合があるのでぜひチャレンジしてみてください。
ChatGPTの開発・分析向けのモデルのcanvasなどを使うと簡単にこの辺は進められます。
業務開始前のタスク整理と優先順位付け
業務を開始する前に、各セクションの優先度の高いタスクを確認・整理します。
Notionデータベースを活用してタスク管理やプロジェクトの進捗状況を可視化することで、効率的に業務を進めることができます。これにより、時間の無駄を省き、重要な業務に集中することが可能となります。
タスク管理ツールでは、締め切りや重要度に応じて自動的にタスクが整理されます。さらに、チームメンバーとの共有も容易になり、全員が同じ目標に向かって効率的に動くことができます。AIによるリマインダー機能や進捗状況のアラートも活用し、遅延や抜け漏れを防ぎます。
採用活動におけるAIの活用
現在、この経営者は採用活動にも力を入れています。採用プラットフォームを活用して候補者の検索やスカウトを行っていますが、ここでもAIを活用しています。
Difyの活用でスカウト作成
具体的には、Difyを用いてデータや知識を裏側に入れておきます。その後に、スキル・経験などを入れることでAIを用いてスカウトの文面を作成し、その精度と効率を向上させています。
また、スカウト送信後のオペレーションをドキュメント化し、外部のリソースに業務を委託することで、さらなる効率化を図っています。これにより、優秀な人材の獲得に注力しつつ、時間と労力を節約しています。
AIが候補者のプロフィールを分析し、自社の求めるスキルや経験を持つ人材をリストアップします。さらに、個々の候補者に合わせたパーソナライズされたメッセージを自動生成し、返信率を高めています。採用プロセス全体を効率化することで、より多くの時間を面談や人材の評価に充てることができます。
カスタマーサクセスのデータ分析と資料作成
顧客満足度の向上は、事業成長に直結します。そのため、カスタマーサクセスチームのデータを収集・分析し、必要な資料を作成しています。ここでもAIを活用してデータの生成や分析を行い、顧客のニーズや課題を的確に把握します。
Difyでのチャットボットを駆使して、コンテンツ作成
社内向けにチャットボットを作成し、CSメンバーに利用してもらっています。メンバーに資料作成してもらっているので、チャットボットで吐き出した知識・まとめ方を元に構成や本文を作っています。
作成した資料は、チーム内で共有し、サービス改善や新たな提案に役立てています。AIによるデータ分析は、顧客理解を深め、より良いサービス提供につながります。
具体的には、顧客の利用履歴や問い合わせ内容を分析し、共通の課題やニーズを特定します。これを基に、製品の改善点や新サービスの開発に反映させます。また、顧客ごとに最適な提案を行うことで、ロイヤルティの向上や追加契約の獲得にもつなげています。
コンテンツ作成時にRecraft v3・v0でアイキャッチ画像作成
経営やマーケティングなどのnote記事・メディア記事のコンテンツ作成時にRecraft v3・v0でアイキャッチ画像作成するのが効率的です。Recraft v3は、長文のプロンプトを処理できる点が特徴で、複雑なアイデアやテーマを具体的に表現した画像を生成することが可能です。
例えば、「夕焼けの砂漠でラクダが疾走しているシーン」といった詳細なプロンプトを入力することで、視覚的にインパクトのある画像が得られます。
まとめ
以上のように、AIを活用することで、経営者は情報収集から数値分析、タスク管理、採用活動、カスタマーサクセスまで、多岐にわたる業務を効率化しています。
AIツールを適切に取り入れることで、生産性の向上や事業成長、新規事業開発が可能となります。経営者自身がAIの可能性を理解し、日々のルーティンに組み込むことで、組織全体の競争力を高めることができるのです。