Notion API・Claude・MCPでデジタル秘書開発。デイリータスク管理で得た知見(2025年4月現在)エンジニア起業家デイリールーティンvol.2

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AINOW(エーアイナウ)編集部です。近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの働き方にも大きな変化をもたらしています。特に、複数のツールやサービスを連携させ、業務を自動化・効率化する動きが活発です。この記事では、Notion API、Claude、そしてMCP(Model Context Protocol)を組み合わせて「デジタル秘書」を開発し、日々のタスク管理に応用した実践例をご紹介します。AIを活用して煩雑なタスクから解放され、より本質的な業務に集中したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事のサマリー

  • Notion API、Claude、MCPを連携させ、タスク管理を自動化する「デジタル秘書」の構築方法を解説します。
  • 実際にデジタル秘書を運用して見えてきた、具体的なメリットや効率化のポイント、そして今後の課題について共有します。
  • MCPのようなツールがデータ連携において果たす役割と、来るべきAtoA(Agent-to-Agent)時代に向けた準備の重要性を考察します。

はじめに:なぜ今、デジタル秘書が必要なのか?

デジタル秘書の必要性

ビジネスパーソンは、日々多くのタスクに追われています。メールの確認、会議のスケジュール調整、資料作成、情報収集など、その種類は多岐にわたります。特に経営者は、並行して複数の大きな課題に向き合う必要があります。

これらのタスクを効率的にこなすことは、生産性向上の鍵となりますが、マルチタスクによる集中力の低下や、タスクの抜け漏れといった問題も起こりがちです。特に、複数のツールやプラットフォームを使い分けている場合、情報の散逸や連携の手間が大きな負担となります。

このような背景から、AIを活用した「デジタル秘書」の必要性が高まっています。デジタル秘書は、単なるタスク管理ツールではありません。AIがユーザーの意図を汲み取り、能動的にタスクの整理、優先順位付け、リマインドなどを行ってくれる存在です。これにより、私たちは煩雑な作業から解放され、より創造的で戦略的な業務に集中できるようになります。特に、AIエージェント同士が連携するAgent-to-Agentの時代が近づく中、AIを使いこなし、業務プロセスに組み込むスキルは不可欠と言えるでしょう。

Notion, Claude, MCPを選んだ理由

今回のデジタル秘書開発において、中核となるツールとしてNotion、Claude、そしてMCPを選定しました。それぞれの選定理由は以下の通りです。

  • Notion: データベース機能が強力で、タスクリスト、プロジェクト管理、メモなど、あらゆる情報を柔軟に管理できます。APIが公開されており、外部ツールとの連携が容易な点も大きな魅力です。今回は、日々のタスクを蓄積・管理するデータベースとして活用しました。
  • Claude: 自然言語処理能力に優れ、人間のような対話を通じてタスクの指示や相談が可能です。特に、長い文章の読解や要約、複雑な指示の理解度が高いと評価されています。今回は、タスクの新規作成、優先度変更、完了報告といったインタラクションの窓口として、デスクトップアプリを中心に利用しました。
  • MCP (Model Context Protocol): 様々なAIモデルやAPIを連携させるためにClaudeが公開しています。ノーコード/ローコードで複雑なワークフローを構築でき、異なるサービス間のデータ連携を容易にします。今回は、Notion APIとClaude、さらにGoogleカレンダーなどを繋ぐハブとして、デジタル秘書の頭脳部分を担わせました。MCPの導入方法については、Claude MCPの導入方法・使い方:ステップバイステップガイド(初心者向け)の記事も参考にしてください。

これらのツールを組み合わせることで、柔軟な情報管理(Notion)、高度な自然言語対話(Claude)、そしてシームレスな連携(MCP)を実現し、実用的なデジタル秘書の構築を目指しました。

MCPを活用したデジタル秘書の構築ステップ

MCPを活用したデジタル秘書構築

デジタル秘書の構築は、主にMCP上で各サービスを連携させることで行いました。具体的なステップは以下の通りです。

Notion APIとの連携設定

まず、MCPとNotionを連携させます。Notion側でAPIキーを取得し、MCPに設定します。次に、タスク管理用のNotionデータベースのIDを指定し、MCPがデータベースの読み書きを行えるように設定します。具体的には、タスク名、期日、優先度、ステータスといったプロパティをMCPが認識できるようにマッピング作業を行います。これにより、MCP経由でClaudeから指示を送り、Notionデータベースに新しいタスクを追加したり、既存タスクのステータスを更新したりすることが可能になります。API連携の設定は、データ連携の基盤となるため、正確に行うことが重要です。

Claudeとの連携とタスク整理ロジック

次に、MCPとClaudeを連携させます。ユーザーがClaudeに話しかけた内容(例:「明日の最優先タスクを教えて」「〇〇の資料作成タスクを追加して」)をMCPが受け取り、その指示内容を解析します。MCP内に、受け取った指示に応じてNotion APIを呼び出すロジックを構築します。

例えば、「タスクを追加して」という指示であれば、タスク名や期日などの情報を抽出し、Notion APIの「ページ作成」エンドポイントを叩く、といった具合です。さらに、毎朝自動でNotionデータベースを確認し、その日のタスク一覧をClaudeに送信して要約させる、といった定期実行のロジックも組み込みました。これにより、自然言語での指示によるタスク操作が実現します。

Googleカレンダー連携によるスケジュール管理

タスク管理において、スケジュールとの連携は欠かせません。そこで、MCPを介してGoogleカレンダーとも連携させました。Notionデータベース上のタスクに期日が設定されている場合、その情報をGoogleカレンダーに自動で登録するワークフローを構築しました。

また、逆にGoogleカレンダーに登録された予定(特に会議など)を抽出し、関連するタスクがないかNotionデータベースを検索し、必要であればタスク作成を促すような通知をClaude経由で送ることも可能です。これにより、タスクとスケジュールの統合的な管理が実現し、予定の見落としやダブルブッキングを防ぐことができます。

デジタル秘書によるデイリータスク管理の実践

デイリータスク管理の実践

構築したデジタル秘書を実際に日々のタスク管理に導入し、その効果を検証しました。

Claudeデスクトップアプリでのタスク操作

日常的なタスクの追加、確認、更新は、主にClaudeのデスクトップアプリを通じて行いました。「今日のタスク一覧を見せて」「AプロジェクトのBタスクを完了にして」「Cタスクの優先度を『高』に変更して」といった自然言語での指示に対し、デジタル秘書(MCP経由でNotionを操作)が迅速かつ正確に対応してくれました。

これにより、Notionを直接開く手間が省け、思考の流れを中断することなくタスク管理を行えるようになりました。特に、移動中や他の作業中に思いついたタスクを、音声入力などを活用して素早く登録できる点は非常に便利でした。

調査タスクの効率的な処理方法

調査系のタスクが発生した場合、まずはClaudeに概要を伝え、関連情報を収集・要約してもらうようにしました。例えば、「〇〇技術の最新動向について調べてまとめて」と指示すると、ClaudeがWeb検索などを行い、初期的な情報をまとめてくれます。これにより、調査の初動にかかる時間を大幅に短縮できました。ただし、より専門的で深い調査が必要な場合は、現状ではまだClaudeだけでは不十分なケースもあります。

そのような場合は、Claudeがまとめた初期情報を元に、ChatGPTの有料プラン(GPT-4など)や専門的なリサーチツール(例:MANUS)を別途利用して深掘りするという使い分けを行っています。将来的には、ChatGPTのモデルごとの使い方、特徴、機能、料金の一括比較で紹介されているような高性能モデルや、特定の調査タスクに特化したAIエージェントとの連携も視野に入れています。

実践から見えたメリットと課題

デジタル秘書の導入により、以下のようなメリットを実感できました。

  • タスク管理の効率化: 自然言語での指示により、タスクの登録・更新・確認がスムーズになった。
  • 抜け漏れの防止: Notionとカレンダーの連携により、タスクとスケジュールの見落としが減少した。
  • 集中力の維持: ツール間の移動や手動操作が減り、本来の業務に集中できる時間が増えた。
  • 情報集約: Notionをハブとしてタスク情報が集約され、管理しやすくなった。

一方で、いくつかの課題も見えてきました。

  • 指示の精度: 曖昧な指示や複雑すぎる指示に対しては、意図通りに動作しない場合がある。プロンプトの工夫が必要。
  • 連携の安定性: APIの仕様変更や一時的なサービスダウンにより、連携が不安定になる可能性。
  • 深い調査への限界: 現状のClaudeだけでは、高度な専門知識が必要な調査には限界がある。
  • カスタマイズの複雑さ: より高度な機能を追加しようとすると、MCPのワークフロー構築が複雑になる場合がある。

これらの課題に対しては、プロンプトエンジニアリングのスキル向上、エラーハンドリングの強化、他のAIツールとの連携強化などで対応していく必要があると感じています。AIを活用した働き方については、AIを活用する経営者・社長の事例・デイリールーティン vol.1も参考になるでしょう。

MCPがもたらすデータ連携の未来とAtoA時代への備え

データ連携の未来

今回のデジタル秘書開発を通じて、MCPのようなツールがデータ連携において非常に重要な役割を果たすことを再認識しました。

データ連携におけるMCPの重要性

現代のビジネスでは、SaaSをはじめとする様々なツールが利用されていますが、それぞれのツールにデータが分散し、サイロ化してしまうことが課題となっています。データを連携させようにも、APIが公開されていなかったり、連携のための開発コストが高かったりするケースも少なくありません。ZapierやIFTTT、RPAといった連携ツールも存在しますが、対応サービスの制約や設定の複雑さがありました。

MCPは、API連携を前提としつつ、プロンプトエンジニアリングによって柔軟なデータ処理や変換を可能にする点で、既存の連携ツールとは一線を画します。特に、AIモデルを介在させることで、非構造化データ(自然言語など)を扱ったり、複雑な条件分岐やデータ加工を行ったりすることが容易になります。今回の例では、ClaudeというAIモデルを介してNotion APIを操作しましたが、これはMCPの得意とする連携パターンの一つです。このように、MCPはAIサービスと既存のデータソースを繋ぐ強力なインターフェースとして機能し、データ連携のハードルを大きく下げ、新たな価値創出を可能にします。

FastAPIなどを利用して自前でMCPのようなサーバーを構築することも可能ですが、その方法やメリットについてはFastAPIでMCPサーバーを構築する方法とメリットで詳しく解説しています。

AtoA時代を見据えたAIワークフローの必要性

今後は、AIエージェント同士が自律的に連携し、タスクを実行する「Agent-to-Agent(AtoA)」の時代が到来すると言われています。AtoAが実現すれば、人間が介在せずとも、より複雑で高度な業務プロセスが自動化される可能性があります。しかし、AtoAが普及する前段階として、「どのAIエージェントに、どのデータを、どのように連携させれば、目的を達成できるのか」というワークフローを設計・構築する能力が重要になります。

MCPや、同様のAIワークフロー構築ツール(例えばDifyReplit Agentなど)に触れておくことは、この来るべきAtoA時代への備えとして非常に有効です。実際に手を動かしてAI連携の仕組みを理解し、試行錯誤する経験を通じて、「AIに何をさせたいか」「どうすればそれが実現できるか」を具体的に考えられるようになります。単にAIサービスを利用するだけでなく、自らワークフローを設計し、AIを使いこなすスキルを身につけることが、今後のビジネスにおいて競争優位性を確立する鍵となるでしょう。

経営者・開発者が今取り組むべきこと

AI技術の進化は非常に速く、次々と新しいモデルやサービスが登場しています。このような変化の激しい時代において、経営者や開発者はそれぞれ以下の点に取り組むことが重要です。

  • 経営者・事業責任者向け:
    • 本質的な価値の見極め: 個々のAIモデルの性能に一喜一憂するのではなく、自社のビジネス課題を解決するために「データをどう繋ぎ、何を実現するか」という視点を持つことが重要です。AIはあくまで手段であり、それによって顧客にどのような価値を提供できるかを常に考える必要があります。
    • AI活用の推進: デジタル秘書の例のように、まずは身近な業務からAI活用を試し、成功体験を積み重ねることが大切です。AI導入による効果を具体的に示し、組織全体でAIリテラシーを高めていくことが求められます。経営者が考えるAI活用した副業で月5−10万円稼ぐ方法【初心者向け・2024年版】のような視点も、新たなビジネスチャンスを探る上で参考になるかもしれません。
  • 開発者向け:
    • 連携技術の習得: MCPのようなAIワークフローツールや、各種API連携、データベース操作に関する知識・スキルを習得することが不可欠です。特定のAIモデルに依存するのではなく、様々なツールやサービスを柔軟に組み合わせる能力が求められます。
    • インターフェースの探求: AtoA時代においても、人間がAIと対話し、指示を与え、結果を確認するためのインターフェースは必要です。それがLLM自体になるのか、ブラウザ拡張機能になるのか、あるいはSlackのようなコミュニケーションツールになるのか、最適なインターフェースのあり方を探求し、開発していくことが重要になります。
    • データ連携基盤の構築: データのサイロ化を防ぎ、スムーズな連携を実現するための基盤構築が重要です。APIが公開されていないサービスは今後淘汰される可能性も考慮し、データ連携しやすいシステム設計を心がける必要があります。

AI時代を生き抜くためには、変化を恐れず、常に学び続け、実際に手を動かして試してみる姿勢が不可欠です。

まとめ:MCP活用で実現する次世代の働き方

次世代の働き方

本記事では、Notion API、Claude、MCPを連携させて構築したデジタル秘書によるデイリータスク管理の実践例をご紹介しました。MCPのようなツールを活用することで、AIサービスと既存のデータソースを効果的に連携させ、業務効率を大幅に向上させられる可能性が見えてきました。

デジタル秘書の導入により、タスク管理の煩雑さから解放され、より創造的な業務に集中できる時間が増えました。もちろん、指示の精度や連携の安定性といった課題は残りますが、これらは今後の技術進化や運用ノウハウの蓄積によって改善されていくでしょう。

重要なのは、AIを単なるツールとして使うだけでなく、自社の業務プロセスに合わせてAIワークフローを設計し、最適化していく視点を持つことです。MCPのようなプラットフォームは、そのための強力な武器となります。来るべきAtoA時代に向けて、今からAI連携のスキルを磨き、データ活用の基盤を整えておくことが、これからのビジネスにおいて不可欠な取り組みとなるでしょう。この記事が、皆さんのAI活用の一助となれば幸いです。

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