テスラFSDとは
テスラFSD(Full Self-Driving)は、テスラ車に搭載される先進運転支援システムです。「完全自動運転」という名称ですが、現時点ではレベル2の運転支援であり、ドライバーの監視が必要です。
FSDとAutopilotの違い
| 機能 | Autopilot | FSD |
|---|---|---|
| 価格 | 標準装備 | 追加購入(約200万円) |
| 高速道路走行 | ○ | ○ |
| 車線変更 | 手動 | 自動提案 |
| 市街地走行 | × | ○ |
| 信号・標識認識 | × | ○ |
| 交差点左折 | × | ○ |
FSDの価格推移
- 2019年:5,000ドル
- 2020年:8,000ドル
- 2022年:12,000ドル
- 2024年:8,000ドル(値下げ)
- サブスク:月額99〜199ドル
FSDの主要機能
Navigate on Autopilot
高速道路での自動運転機能:
- 自動車線変更
- インターチェンジ・ランプの自動走行
- 追い越し提案
Autosteer on City Streets(FSD Beta)
市街地での自動運転機能:
- 信号・一時停止標識の認識と停止
- 交差点での左折・右折
- ラウンドアバウトの走行
- 歩行者・自転車の認識と回避
Summon / Smart Summon
- Summon:駐車場内で車を前後に移動
- Smart Summon:駐車場内でオーナーの位置まで自動走行
Auto Park
- 縦列駐車の自動化
- 並列駐車の自動化
- 駐車スペースの自動検出
Tesla Vision(カメラオンリー)
センサー構成の変遷
| 時期 | センサー構成 |
|---|---|
| 〜2021年 | カメラ + レーダー + 超音波センサー |
| 2021年〜 | カメラ + 超音波センサー(レーダー廃止) |
| 2023年〜 | カメラのみ(Tesla Vision) |
カメラ構成
- フロントカメラ:3台(広角、標準、望遠)
- サイドカメラ:4台(フロント左右、リア左右)
- リアカメラ:1台
- 合計:8台のカメラで360度カバー
LiDAR不要論
イーロン・マスクは「LiDARは松葉杖」と主張し、以下の理由でカメラのみのアプローチを採用:
- 人間がカメラ(目)だけで運転できる
- LiDARは高コストで量産に不向き
- AIの進化でカメラのみで十分な認識が可能
FSD v12とAIアーキテクチャ
End-to-End Neural Network
FSD v12では従来のルールベースから完全ニューラルネットワークベースに移行:
- 従来(v11まで):30万行以上のC++コード + ルールベース
- v12以降:エンドツーエンドの深層学習
- 学習データ:数十億マイルの実走行データ
Dojo スーパーコンピュータ
- 目的:FSD学習用の自社開発スーパーコンピュータ
- D1チップ:独自開発のAIチップ
- 演算能力:エクサFLOPS級の処理能力
HW3 vs HW4
| 仕様 | HW3 | HW4 |
|---|---|---|
| リリース | 2019年 | 2023年 |
| 処理能力 | 144 TOPS | 500+ TOPS(推定) |
| カメラ解像度 | 1.2MP | 5MP |
| カメラ数 | 8台 | 11台(Cybertruck) |
安全性と事故データ
テスラの安全性レポート
テスラが四半期ごとに公開する安全性データ(2024年Q3):
- Autopilot使用時:637万マイルに1件の事故
- Autopilot未使用時:167万マイルに1件の事故
- 米国平均:67万マイルに1件の事故
FSD関連の事故・調査
- NHTSA調査:Autopilot関連事故について継続調査中
- リコール:2024年にFSDベータのリコール(ソフトウェア更新で対応)
- 訴訟:Autopilot使用中の死亡事故で複数の訴訟
レベル2の限界
FSDは「Full Self-Driving」という名称ですが、法的にはレベル2の運転支援であり:
- ドライバーは常にハンドルに手を置く必要がある
- 注意力を道路に向ける必要がある
- いつでも運転を引き継ぐ準備が必要
FSD Supervised
名称変更
2024年、テスラは「FSD Beta」を「FSD Supervised」に名称変更:
- 誤解を防ぐための措置
- 監視が必要であることを明示
- 規制当局からの批判への対応
利用条件
- 安全スコア:80以上が必要(急ブレーキ、急ハンドルなどで減点)
- ドライバーモニタリング:カメラでドライバーの注意力を監視
- 介入回数の記録:ドライバーが介入した回数を記録
Cybercab(テスラロボタクシー)
2024年発表
2024年8月の「We, Robot」イベントで発表:
- デザイン:ステアリング・ペダルなしの完全自動運転専用車両
- 価格:3万ドル以下を目標
- 生産開始:2026年予定
- 収容人数:2人乗り
Robovan
- 最大20人乗りの自動運転バン
- 都市内移動やライドシェアを想定
- 発売時期は未定
FSD利用可能国・地域
現在のFSD利用可能地域
- アメリカ:全州で利用可能
- カナダ:2024年から展開
- 中国:2024年に許可取得、展開中
- ヨーロッパ:規制対応中(限定的)
日本での状況
日本ではFSDは利用不可:
- 道路運送車両法の保安基準に適合していない
- 型式認証の取得が必要
- Autopilot(基本機能)のみ利用可能
競合との比較
主要ADASシステム比較
| システム | メーカー | センサー | レベル |
|---|---|---|---|
| FSD | テスラ | カメラのみ | レベル2 |
| Super Cruise | GM | カメラ + LiDAR地図 | レベル2 |
| BlueCruise | Ford | カメラ + レーダー | レベル2 |
| ProPilot | 日産 | カメラ + レーダー | レベル2 |
| Honda SENSING | ホンダ | カメラ + レーダー | レベル3(Traffic Jam Pilot) |
今後の展望
完全自動運転への道
- 2025年:FSD v13の展開、監視なし運転の試験
- 2026年:Cybercab生産開始
- 2027年以降:規制承認次第でレベル4サービス開始
課題
- 規制承認:レベル4/5の認可取得
- 責任問題:事故時の法的責任の明確化
- エッジケース:予測困難な状況への対応
まとめ
テスラFSDは、カメラのみのアプローチで自動運転を実現しようとする野心的なシステムです。v12でエンドツーエンドのAIに移行し、性能は大幅に向上しています。
ただし、現時点ではレベル2の運転支援であり、「Full Self-Driving」という名称は誤解を招く可能性があります。完全な自動運転が実現するまでは、常にドライバーの監視が必要です。
2026年のCybercab生産開始に向けて、テスラは自動運転技術の開発を加速しています。今後の規制承認と技術進化に注目です。

自動運転タクシー完全ガイド|Waymo・Cruise・百度の最新動向【2026年】
自動運転タクシーとは 自動運転タクシー(ロボタクシー)とは、人間のドライバーなしで乗客を目的地まで運ぶ自動運転車両サービスです。AIとセンサー技術を組み合わせ、レベル4以上の自動運転を実現しています。 自動運転レベルの定義 レベル名称内容 ...

自動運転レベル4とは?実用化の現状と主要プレイヤーを徹底解説【2026年最新】
自動運転レベル4は「特定条件下での完全自動運転」を意味し、2026年現在、世界各地で実用化が進んでいます。Waymo、Cruise、百度Apolloなど主要プレイヤーの動向、日本での規制緩和状況、導入のメリット・課題まで、自動運転レベル4の...


OpenAI
Google
ChatGPT
Bard
Stable Diffusion
Midjourney