テスラFSD(Full Self-Driving)徹底解説|機能・価格・安全性【2026年】

テスラFSDとは

テスラFSD(Full Self-Driving)は、テスラ車に搭載される先進運転支援システムです。「完全自動運転」という名称ですが、現時点ではレベル2の運転支援であり、ドライバーの監視が必要です。

FSDとAutopilotの違い

機能 Autopilot FSD
価格 標準装備 追加購入(約200万円)
高速道路走行
車線変更 手動 自動提案
市街地走行 ×
信号・標識認識 ×
交差点左折 ×

FSDの価格推移

  • 2019年:5,000ドル
  • 2020年:8,000ドル
  • 2022年:12,000ドル
  • 2024年:8,000ドル(値下げ)
  • サブスク:月額99〜199ドル

FSDの主要機能

Navigate on Autopilot

高速道路での自動運転機能:

  • 自動車線変更
  • インターチェンジ・ランプの自動走行
  • 追い越し提案

Autosteer on City Streets(FSD Beta)

市街地での自動運転機能:

  • 信号・一時停止標識の認識と停止
  • 交差点での左折・右折
  • ラウンドアバウトの走行
  • 歩行者・自転車の認識と回避

Summon / Smart Summon

  • Summon:駐車場内で車を前後に移動
  • Smart Summon:駐車場内でオーナーの位置まで自動走行

Auto Park

  • 縦列駐車の自動化
  • 並列駐車の自動化
  • 駐車スペースの自動検出

Tesla Vision(カメラオンリー)

センサー構成の変遷

時期 センサー構成
〜2021年 カメラ + レーダー + 超音波センサー
2021年〜 カメラ + 超音波センサー(レーダー廃止)
2023年〜 カメラのみ(Tesla Vision)

カメラ構成

  • フロントカメラ:3台(広角、標準、望遠)
  • サイドカメラ:4台(フロント左右、リア左右)
  • リアカメラ:1台
  • 合計:8台のカメラで360度カバー

LiDAR不要論

イーロン・マスクは「LiDARは松葉杖」と主張し、以下の理由でカメラのみのアプローチを採用:

  • 人間がカメラ(目)だけで運転できる
  • LiDARは高コストで量産に不向き
  • AIの進化でカメラのみで十分な認識が可能

FSD v12とAIアーキテクチャ

End-to-End Neural Network

FSD v12では従来のルールベースから完全ニューラルネットワークベースに移行:

  • 従来(v11まで):30万行以上のC++コード + ルールベース
  • v12以降:エンドツーエンドの深層学習
  • 学習データ:数十億マイルの実走行データ

Dojo スーパーコンピュータ

  • 目的:FSD学習用の自社開発スーパーコンピュータ
  • D1チップ:独自開発のAIチップ
  • 演算能力:エクサFLOPS級の処理能力

HW3 vs HW4

仕様 HW3 HW4
リリース 2019年 2023年
処理能力 144 TOPS 500+ TOPS(推定)
カメラ解像度 1.2MP 5MP
カメラ数 8台 11台(Cybertruck)

安全性と事故データ

テスラの安全性レポート

テスラが四半期ごとに公開する安全性データ(2024年Q3):

  • Autopilot使用時:637万マイルに1件の事故
  • Autopilot未使用時:167万マイルに1件の事故
  • 米国平均:67万マイルに1件の事故

FSD関連の事故・調査

  • NHTSA調査:Autopilot関連事故について継続調査中
  • リコール:2024年にFSDベータのリコール(ソフトウェア更新で対応)
  • 訴訟:Autopilot使用中の死亡事故で複数の訴訟

レベル2の限界

FSDは「Full Self-Driving」という名称ですが、法的にはレベル2の運転支援であり:

  • ドライバーは常にハンドルに手を置く必要がある
  • 注意力を道路に向ける必要がある
  • いつでも運転を引き継ぐ準備が必要

FSD Supervised

名称変更

2024年、テスラは「FSD Beta」を「FSD Supervised」に名称変更:

  • 誤解を防ぐための措置
  • 監視が必要であることを明示
  • 規制当局からの批判への対応

利用条件

  • 安全スコア:80以上が必要(急ブレーキ、急ハンドルなどで減点)
  • ドライバーモニタリング:カメラでドライバーの注意力を監視
  • 介入回数の記録:ドライバーが介入した回数を記録

Cybercab(テスラロボタクシー)

2024年発表

2024年8月の「We, Robot」イベントで発表:

  • デザイン:ステアリング・ペダルなしの完全自動運転専用車両
  • 価格:3万ドル以下を目標
  • 生産開始:2026年予定
  • 収容人数:2人乗り

Robovan

  • 最大20人乗りの自動運転バン
  • 都市内移動やライドシェアを想定
  • 発売時期は未定

FSD利用可能国・地域

現在のFSD利用可能地域

  • アメリカ:全州で利用可能
  • カナダ:2024年から展開
  • 中国:2024年に許可取得、展開中
  • ヨーロッパ:規制対応中(限定的)

日本での状況

日本ではFSDは利用不可:

  • 道路運送車両法の保安基準に適合していない
  • 型式認証の取得が必要
  • Autopilot(基本機能)のみ利用可能

競合との比較

主要ADASシステム比較

システム メーカー センサー レベル
FSD テスラ カメラのみ レベル2
Super Cruise GM カメラ + LiDAR地図 レベル2
BlueCruise Ford カメラ + レーダー レベル2
ProPilot 日産 カメラ + レーダー レベル2
Honda SENSING ホンダ カメラ + レーダー レベル3(Traffic Jam Pilot)

今後の展望

完全自動運転への道

  • 2025年:FSD v13の展開、監視なし運転の試験
  • 2026年:Cybercab生産開始
  • 2027年以降:規制承認次第でレベル4サービス開始

課題

  • 規制承認:レベル4/5の認可取得
  • 責任問題:事故時の法的責任の明確化
  • エッジケース:予測困難な状況への対応

まとめ

テスラFSDは、カメラのみのアプローチで自動運転を実現しようとする野心的なシステムです。v12でエンドツーエンドのAIに移行し、性能は大幅に向上しています。

ただし、現時点ではレベル2の運転支援であり、「Full Self-Driving」という名称は誤解を招く可能性があります。完全な自動運転が実現するまでは、常にドライバーの監視が必要です。

2026年のCybercab生産開始に向けて、テスラは自動運転技術の開発を加速しています。今後の規制承認と技術進化に注目です。

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