Figure AI(フィギュアAI)は、2022年設立のアメリカのロボティクス企業で、AI搭載ヒューマノイドロボットの開発・製造を行っています。OpenAI、Microsoft、NVIDIA、Amazonなど世界的テック企業から総額19億ドル以上の資金を調達し、評価額は390億ドル(約5.8兆円)に達しました。BMW工場での実稼働や、独自のAIモデル「Helix」の開発など、ヒューマノイド産業をリードする存在として注目を集めています。
Figure AIとは
Figure AIは、Archer Aviation(空飛ぶタクシー)やVettery(採用プラットフォーム)の創業者であるBrett Adcock氏が2022年に設立したロボティクス企業です。「汎用ヒューマノイドロボットで労働力不足を解決する」というミッションを掲げ、製造業から家庭用まで幅広い用途に対応するロボットの開発を進めています。
主な特徴
- 評価額390億ドル:2025年9月の資金調達で世界トップクラスのロボット企業に
- OpenAI連携:2024年にパートナーシップを締結(2025年に独自路線へ転換)
- BMW実稼働:世界初の自動車工場での本格運用を実現
- 独自AI「Helix」:VLA(Vision-Language-Action)モデルを自社開発
Figure 01・02・03スペック比較
Figure AIは急速な製品進化を遂げており、2024年から2025年にかけて3世代のロボットをリリースしています。
| 項目 | Figure 01 | Figure 02 | Figure 03 |
|---|---|---|---|
| 発表時期 | 2023年 | 2024年8月 | 2025年10月 |
| 身長 | 約1.7m | 1.7m(5’7″) | 1.68m(5’6″) |
| 重量 | 約60kg | 70kg(154lbs) | 60kg |
| 自由度(DoF) | 非公開 | 手:16 DoF/片手 | 35 DoF(全身) |
| カメラ | 基本構成 | 6台RGB | 改良版(2倍フレームレート、60%広視野角) |
| バッテリー | 外部式 | 胴体内蔵(50%増量) | ワイヤレス充電対応(2kW) |
| GPU | 1基 | 2基 | 2基(最適化済み) |
| 想定価格 | 非公開 | 約$50,000〜 | $20,000未満(量産時) |
Figure 03の革新点
Figure 03は「家庭用ロボット」を見据えた設計で、以下の特徴があります:
- ワイヤレス充電:足裏の充電コイルでスタンドに立つだけで2kW充電
- 10Gbps mmWaveデータ転送:テラバイト単位のデータをワイヤレスでアップロード
- 高精度触覚センサー:3グラムの力まで検知可能な手のひらセンサー
- コスト90%削減:Figure 02比でコンポーネントコストを大幅削減
Helix AI(VLAモデル)の仕組み
Helix(ヘリックス)は、Figure AIが独自開発したVision-Language-Action(VLA)モデルです。OpenAIとの提携終了後、大規模言語モデル(LLM)の「コモディティ化」を見据え、ロボット制御に特化したAIを自社開発する路線に転換しました。
Helixのアーキテクチャ
| システム | 役割 | 処理速度 |
|---|---|---|
| System 2(S2) | シーン理解・言語理解(高レベル計画) | 7-9 Hz |
| System 1(S1) | 高速反応型ビジュオモーター制御(低レベル制御) | 200 Hz |
業界初の技術
- 全身制御VLA:手首・胴体・頭部・指を含む上半身全体を連続制御する初のVLA
- マルチロボット協調:2台のロボットを同時制御し、協調タスクを実行可能
- 組み込みGPU動作:低消費電力GPUで完全オンボード動作(クラウド不要)
BMW工場での実証

2024年1月にBMWとパートナーシップを締結し、米国サウスカロライナ州スパータンバーグ工場でFigure 02の実証運用を開始しました。これはヒューマノイドロボットの自動車製造ラインへの本格導入として世界初の事例です。
11ヶ月間の運用実績(2025年11月時点)
- 稼働時間:1,250時間以上
- 部品積載数:90,000個以上
- 生産貢献:X3モデル30,000台以上の製造に貢献
- 作業内容:ボディショップでの板金部品の治具への挿入(ミリ単位の精度が必要)
- シフト:毎日10時間稼働
OpenAI連携と独自路線への転換

2024年2月、Figure AIはOpenAIとの提携を発表し、「次世代ヒューマノイドAIモデル」の共同開発を開始しました。この発表は業界に大きなインパクトを与えました。
提携から独自路線へ
しかし2025年、Figure AIはOpenAIとの提携を終了。その理由として「大規模言語モデルはますます賢くなる一方でコモディティ化が進んでいる」と説明しています。現在は独自のHelix AIを完全に内製化し、ロボット制御に最適化されたVLAモデルの開発に注力しています。
BotQ工場と量産計画

2025年3月、Figure AIは専用製造施設「BotQ(ボットキュー)」を発表しました。
生産計画
- 年間生産能力:12,000台/年(BotQ単独)
- 4年間目標:100,000台出荷
- 量産によるコスト削減:Figure 03で$20,000未満を目標
価格・ビジネスモデル

Figure AIは「Robot-as-a-Service(RaaS)」モデルを採用し、初期購入ではなく月額サブスクリプションで提供しています。
料金体系
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額料金 | 約$1,000/台/月 |
| 含まれるサービス | ハードウェア、ソフトウェア更新、メンテナンス、サポート |
| 将来目標価格(購入) | $20,000未満(一般車両と同等価格帯) |
競合比較

ヒューマノイドロボット市場は急速に拡大しており、複数の有力プレイヤーが存在します。
| 企業 | 主力製品 | 特徴 | 評価額/資金調達 |
|---|---|---|---|
| Figure AI | Figure 03 | VLAモデル、BMW実稼働 | $39B |
| Tesla | Optimus | 自社工場での内製、低コスト志向 | (Tesla時価総額の一部) |
| Boston Dynamics | Atlas(電動版) | 運動性能トップ、Hyundai傘下 | 非公開 |
| Unitree | H1/G1 | 低価格($16,000〜)、中国製 | $1B+ |
| 1X Technologies | NEO | 家庭用、OpenAI出資 | $1B+ |
今後の展望

Figure AIは産業用から家庭用への展開を計画しています。
ロードマップ
- 2025-2026年:製造業向け展開拡大、BMW以外のパートナー獲得
- 2027年以降:家庭用ロボット市場への参入
- 長期目標:「一家に一台」のヒューマノイドロボット実現
まとめ

Figure AIは、OpenAIやNVIDIAなど世界的企業の出資を受け、評価額390億ドルという規模で急成長しているヒューマノイドロボット企業です。BMW工場での11ヶ月の実稼働実績、独自VLAモデル「Helix」の開発、Figure 03の$20,000未満という価格目標など、産業用から家庭用まで幅広い市場を見据えた戦略を展開しています。
Tesla OptimusやBoston Dynamics Atlasとの競争が激化する中、Figure AIの動向は今後のヒューマノイド市場の行方を左右する重要な指標となるでしょう。
https://ainow.jp/tesla-optimus-guide/

https://ainow.jp/embodied-ai-guide/



