「経理作業を自動化したい」「AIで請求書処理を効率化できないか」——経理・財務部門でのAI活用が急速に進んでいます。
LayerXの調査によると、経理部門の24.3%がすでにAIを導入しており、57.8%が「今後のAI活用が重要」と回答しています。本記事では、経理・会計・金融分野で使えるAIツールと導入事例を詳しく解説します。

経理AIとは?何ができるのか

経理AIの基本と進化の歴史を理解しましょう。
経理AIの定義
経理AIとは、AI技術を活用して経理業務を自動化・効率化するシステムの総称です。主に以下の技術が組み合わされています:
- AI-OCR:紙の請求書や領収書をデータ化
- 機械学習:過去データから仕訳を自動推測
- 生成AI:レポート作成、問い合わせ対応
- RPA:定型作業の自動実行
経理AIの進化の歴史
| 時期 | 技術 | できるようになったこと |
|---|---|---|
| 2018年頃 | AI-OCR | 紙証憑のデジタル化(30%→95%) |
| 2020年頃 | RPA連携 | 仕訳の自動登録 |
| 2023年 | 生成AI | 問い合わせ対応、財務コメント生成 |
| 2025年 | AIエージェント | 自律的な判断・実行、異常検知 |
AIエージェント比較15選でも紹介しているように、経理分野でもエージェント型AIの活用が進んでいます。
現在の自動化レベル
2026年現在、仕訳入力の約85%は自動化可能になっています。ただし、判断が必要な業務は引き続き人間が担当します。
| 自動化できる業務 | 人間が担う業務 |
|---|---|
| 請求書のデータ入力 | 例外処理の判断 |
| 定型仕訳の登録 | 新規取引の勘定科目決定 |
| 経費精算の一次チェック | 不正の最終判断 |
| レポートの草案作成 | 経営判断・分析 |
AIエージェントによる経理自動化

2025年から登場した「経理AIエージェント」の能力を見ていきましょう。AIエージェント導入の課題も参考に、導入前の検討事項を確認してください。
経理AIエージェントとは
経理AIエージェントは、目的達成のために自律的に判断・実行できるAIです。AI-OCRや機械学習などを組み合わせ、自ら判断して業務を遂行する「頭脳を持ったデジタル労働力」と言えます。
具体的な動作例
請求書処理の自動化フローを例に説明します:
- メール受信:PDFの請求書が届く
- AI-OCR処理:自動でデータ化
- 勘定科目推測:過去の取引履歴から推測
- 承認依頼:Slackで担当者に通知
- 仕訳登録:承認後、会計ソフトに自動登録
- リマインド:支払期日が近づくと通知
このように、人間は承認ボタンを押すだけで請求書処理が完了します。
AIエージェントの活用領域
- 請求書処理:受領から仕訳登録まで自動化
- 経費精算:申請から承認、仕訳まで自動化
- 入金消込:銀行データと売掛金のマッチング
- 月次決算:チェックリストの自動実行
- 異常検知:異常値の自動検出とアラート
おすすめAI会計ツール

経理業務で使えるAI搭載ツールを紹介します。
AI-OCR・請求書処理
| ツール名 | 特徴 | 主な機能 |
|---|---|---|
| TOKIUM | 経費精算・請求書受領クラウド | AI-OCR、自動仕訳 |
| Bill One | 請求書受領サービス | AI読み取り、自動連携 |
| invox | 請求書処理AI | AI-OCR、ワークフロー |
| LayerX インボイス | 請求書処理自動化 | AI仕訳推測 |
AI搭載会計ソフト
| ツール名 | 特徴 | AI機能 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド会計 | 総合クラウド会計 | 自動仕訳、AI-OCR |
| freee会計 | 中小企業向け | AI自動入力、仕訳推測 |
| 弥生会計オンライン | 老舗の安心感 | スマート取引取込 |
| 勘定奉行クラウド | 中堅企業向け | AI仕訳、データ連携 |
財務分析・BI
- SAP AI:大企業向け統合ERP、AI予測分析
- Oracle Fusion Cloud:グローバル企業向け、異常検知AI
- Tableau + AI:ビジュアル分析、AIインサイト
AI活用事例7選

経理・会計分野での具体的なAI活用事例を紹介します。
事例1:請求書処理の自動化
課題:月間1,000件以上の請求書を手作業で処理
解決策:AI-OCRと自動仕訳を導入
効果:
– 処理時間:80%削減
– ミス率:90%削減
– 人員:3名→1名
事例2:経費精算の効率化
課題:紙の領収書による経費精算が煩雑
解決策:スマホ撮影→AI-OCR→自動仕訳
効果:
– 申請時間:従業員1人あたり月2時間削減
– 承認時間:50%削減
– ペーパーレス化達成
事例3:入金消込の自動化
課題:銀行入金と売掛金のマッチングに時間がかかる
解決策:AIによる自動マッチング
効果:
– マッチング率:95%以上
– 処理時間:70%削減
事例4:不正検知
課題:経費の不正利用を検知できない
解決策:AIによる異常検知アラート
効果:
– 不正検知率:200%向上
– 監査工数:40%削減
AIセキュリティリスクの観点からも、不正検知AIの導入は重要です。
事例5:月次決算の早期化
課題:月次決算に10営業日かかる
解決策:AIエージェントによるチェック自動化
効果:
– 決算期間:10日→5日
– 手戻り:50%削減
事例6:財務レポート自動生成
課題:経営向けレポート作成に時間がかかる
解決策:生成AIによる草案作成
効果:
– 作成時間:60%削減
– レポート品質:向上(異常値の自動指摘)
事例7:問い合わせ対応
課題:社内からの経理関連質問対応に追われる
解決策:AIチャットボットの導入
効果:
– 問い合わせ対応:70%自動化
– 対応時間:即時回答
金融業界でのAI活用

銀行・証券・保険などの金融業界でのAI活用を見ていきましょう。
活用領域
| 領域 | AI活用内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 不正検知 | 取引パターンの異常検知 | 詐欺被害の防止 |
| 与信審査 | AIによる信用スコアリング | 審査時間短縮、精度向上 |
| 顧客対応 | AIチャットボット | 24時間対応、待ち時間削減 |
| 投資分析 | 市場データのAI分析 | 投資判断支援 |
| リスク管理 | リスクシナリオのAI予測 | リスク低減 |
2026年の動向:手形・小切手の廃止
日本では2026年度末までに小切手・約束手形の廃止が予定されています。これに伴い、電子化・AI化がさらに加速する見込みです。
AI導入のメリット・デメリット

経理AIを導入する際の判断材料をまとめます。AIエージェントのコスト管理術も参考に、費用対効果を検討してください。
メリット
- 業務効率化:定型作業の大幅な時間削減
- ミス削減:人的ミスの排除
- コスト削減:人件費・紙代の削減
- リアルタイム化:データの即時反映
- 付加価値業務への集中:分析・戦略立案に時間を使える
デメリット・注意点
- 初期費用:導入・設定にコストがかかる
- 学習期間:AIの精度向上に時間が必要
- 例外処理:イレギュラーなケースは人間が対応
- ブラックボックス:AIの判断根拠が不明な場合も
- セキュリティ:財務データの取り扱いに注意
経理担当者の役割変化

AI時代に経理担当者に求められるスキルが変化しています。
従来の役割
- データ入力
- 伝票処理
- 帳簿作成
- 定型レポート作成
これからの役割
- AIツールの管理・監督:AI出力のチェック
- 例外処理・判断:AIが対応できないケースの処理
- データ分析:経営に活かせるインサイト抽出
- 戦略立案:財務戦略の企画・提案
- ステークホルダー対応:監査対応、投資家対応
求められるスキル:定型業務のスキルだけでなく、経営視点でデータを分析する能力が重要になります。
AI導入チェックリスト

経理AIを導入する際のチェックリストです。
導入前
- □ 現在の業務フローを可視化
- □ 自動化したい業務を特定
- □ 既存システムとの連携可否を確認
- □ 費用対効果を試算
ツール選定
- □ 無料トライアルで検証
- □ サポート体制を確認
- □ セキュリティ認証(ISO27001等)を確認
- □ 既存会計ソフトとの連携を確認
導入後
- □ AIの判断精度を定期的にチェック
- □ 例外処理のルールを整備
- □ 担当者のスキルアップ研修
- □ 効果測定と改善
まとめ

経理・会計分野のAI活用ポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現状 | 経理部門の24.3%がAI導入済み |
| 自動化レベル | 仕訳入力の約85%が自動化可能 |
| 注目技術 | AIエージェントによる自律的な業務遂行 |
| 2026年の変化 | 小切手・手形廃止で電子化加速 |
| 経理の役割変化 | データ入力→分析・戦略立案へシフト |
経理AIは「仕事を奪う」のではなく、「単純作業から解放し、より価値の高い仕事に集中させる」ツールです。まずは請求書処理や経費精算など、効果が見えやすい領域からAI導入を検討してみてください。





