Groq LPUとは
Groq LPU(Language Processing Unit)は、大規模言語モデル(LLM)の推論に特化したAIチップです。従来のGPUと比較して圧倒的に高速な推論性能を実現し、AIチップ市場に新たな選択肢を提供しています。
Groq社の概要
- 設立:2016年
- 本社:米国カリフォルニア州
- 創業者:Jonathan Ross(元Google TPU設計者)
- 資金調達:累計約3億ドル以上
- 評価額:約28億ドル(2024年時点)
LPUとGPUの違い
| 項目 | GPU | LPU |
|---|---|---|
| 設計目的 | 汎用並列処理 | LLM推論特化 |
| メモリ帯域 | HBM(高帯域) | SRAM(超低遅延) |
| バッチ処理 | 大バッチで効率化 | バッチサイズ1でも高速 |
| 遅延 | ミリ秒単位 | マイクロ秒単位 |
| トレーニング | ○ | ×(推論専用) |
LPUのアーキテクチャ
TSP(Tensor Streaming Processor)
LPUの中核となるアーキテクチャ:
- 決定論的実行:実行時間が予測可能
- ソフトウェア定義ハードウェア:柔軟なプログラミング
- コンパイラ最適化:メモリアクセスを事前にスケジューリング
SRAM中心設計
- オンチップSRAM:230MB以上
- 帯域幅:80TB/s以上のオンチップ帯域
- HBM不要:外部メモリへのアクセスを最小化
処理の流れ
- モデルをコンパイル時にスケジューリング
- データフローを完全に予測
- メモリアクセスの待ち時間ゼロ
- トークンを順次高速処理
性能ベンチマーク
推論速度(トークン/秒)
| モデル | GPU (A100) | Groq LPU | 倍率 |
|---|---|---|---|
| Llama 2 70B | 30-50 | 300+ | 6-10倍 |
| Mixtral 8x7B | 50-80 | 500+ | 6-10倍 |
| Llama 3 70B | 40-60 | 330+ | 6-8倍 |
遅延(レイテンシ)
- 最初のトークン:数十ミリ秒(GPUの1/10以下)
- トークン間遅延:マイクロ秒単位
- 体感速度:ほぼリアルタイムの応答
電力効率
- 消費電力:1チップあたり約300W
- トークン/ワット:GPUの数倍の効率
GroqCloud
サービス概要
GroqCloudは、LPUを活用したクラウド推論サービスです:
- API提供:REST APIでLLM推論を提供
- 対応モデル:Llama 3、Mixtral、Gemma など
- 料金体系:トークン単位の従量課金
料金比較(2024年時点)
| モデル | GroqCloud | OpenAI GPT-4 |
|---|---|---|
| 入力(100万トークン) | $0.05-0.27 | $30 |
| 出力(100万トークン) | $0.08-0.27 | $60 |
対応モデル
- Llama 3:8B、70B
- Llama 3.1:8B、70B、405B(一部)
- Mixtral:8x7B
- Gemma:7B
- Whisper:音声認識モデル
ユースケース
リアルタイムアプリケーション
- 音声アシスタント:低遅延が必須
- チャットボット:即座の応答が求められる
- ゲームAI:リアルタイム対話
- 自動翻訳:会話レベルの速度
バッチ推論
- コンテンツ生成:大量のテキスト生成
- データ分析:大規模テキスト処理
- コード生成:開発支援ツール
音声処理
Whisperモデルによる音声処理:
- 文字起こし速度:リアルタイムの数十倍
- 多言語対応:99言語をサポート
- 遅延:ほぼ即座に結果を返す
GPUとの棲み分け
LPUが優位な領域
- 推論専用ワークロード
- 低遅延が重要なアプリケーション
- 小バッチまたはバッチサイズ1の処理
- リアルタイム対話システム
GPUが優位な領域
- モデルトレーニング
- ファインチューニング
- 大バッチ推論
- 汎用AI処理
使い分け戦略
| 用途 | 推奨チップ |
|---|---|
| モデル開発・学習 | NVIDIA GPU |
| 本番推論(低遅延) | Groq LPU |
| 本番推論(大バッチ) | GPU / LPU両方 |
| エッジ推論 | 専用エッジチップ |
競合との比較
推論特化チップ市場
| 企業 | チップ | 特徴 |
|---|---|---|
| Groq | LPU | 最高速の推論 |
| Cerebras | WSE-3 | ウェハースケール |
| SambaNova | SN40L | 企業向けソリューション |
| Graphcore | IPU | グラフ処理最適化 |
NVIDIA対抗
- 強み:推論速度では圧倒的優位
- 課題:トレーニングはGPUに依存
- 戦略:推論市場に特化して差別化
導入事例
企業採用
- Definitive Intelligence:金融分析AIの高速化
- LiveKit:リアルタイム音声処理
- 複数のAIスタートアップ:チャットボット・音声AI
開発者コミュニティ
- GroqCloudの無料枠を活用した実験
- オープンソースモデルとの組み合わせ
- 低コストでの本番運用
今後の展望
ロードマップ
- 2024年:GroqCloudの拡張、より大きなモデル対応
- 2025年:次世代LPU開発、データセンター展開拡大
- 2026年以降:推論インフラの主要プレイヤーへ
課題
- モデルサポート:最新モデルへの迅速な対応
- 供給能力:需要増加への生産対応
- エコシステム:開発ツール・サポートの充実
まとめ
Groq LPUは、LLM推論において革命的な性能を実現しています。GPUの6〜10倍の速度と圧倒的な低遅延は、リアルタイムAIアプリケーションの可能性を大きく広げます。
トレーニングではNVIDIA GPUが依然として主流ですが、推論市場ではGroqのような特化型チップが急速に存在感を増しています。AIの本番運用を検討する企業にとって、LPUは重要な選択肢となるでしょう。

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