AI半導体入門|GPU・TPU・NPUの違いと選び方を徹底解説【2026年最新】

AI半導体入門|GPU・TPU・NPUの違いと選び方を徹底解説【2026年最新】 AIサービス・モデル

AI半導体はAI技術の進化を支える「頭脳」です。GPU、TPU、NPUなど様々な種類があり、それぞれ得意分野が異なります。本記事では、AI半導体の基本から、NVIDIA、Google、Apple、AMDなど主要メーカーの製品を比較し、用途別の選び方まで徹底解説します。

AI半導体とは

AI半導体とは

AI半導体とは、人工知能(AI)の処理に特化した半導体チップの総称です。従来のCPUと異なり、大量の並列計算を高速に行うことに最適化されており、機械学習・深層学習の学習(トレーニング)や推論(インファレンス)を効率的に実行します。

なぜAI専用の半導体が必要なのか

AIの処理、特に深層学習では、数十億〜数兆のパラメータを持つモデルを扱います。これらの計算は行列演算が中心であり、従来のCPU(逐次処理向け)では効率が悪く、学習に数ヶ月〜数年かかることもあります。AI半導体は並列計算に特化することで、学習時間を数日〜数週間に短縮できます。

AI半導体の市場規模

AI半導体市場は急速に拡大しており、2025年で約700億ドル、2030年には2,000億ドル超の規模に成長すると予測されています。NVIDIAがデータセンター向けで圧倒的シェアを持ち、Google、AMD、Intelが追随しています。

GPU・TPU・NPUの違い

GPU・TPU・NPUの違い

AI半導体には主にGPU、TPU、NPUの3種類があります。それぞれの特徴と用途を解説します。

GPU(Graphics Processing Unit)

もともと3Dグラフィックス処理用に開発されたプロセッサですが、その並列計算能力がAIに適していることが判明し、現在はAI学習の主力となっています。

  • 代表製品:NVIDIA H100、A100、AMD MI300X
  • 得意分野:大規模モデルの学習、汎用的なAI処理
  • 特徴:汎用性が高く、様々なフレームワーク(PyTorch、TensorFlow等)に対応
  • 価格帯:データセンター向けは1台数百万〜数千万円

TPU(Tensor Processing Unit)

Googleが自社のAIサービス(検索、翻訳、Gemini等)向けに開発した専用チップ。テンソル(多次元配列)演算に特化しています。

  • 代表製品:Google TPU v5p、TPU v4
  • 得意分野:Googleのフレームワーク(TensorFlow、JAX)での学習・推論
  • 特徴:Google Cloud経由でのみ利用可能(購入不可)
  • 価格帯:クラウド利用料で時間課金

NPU(Neural Processing Unit)

エッジデバイス(スマートフォン、PC等)でのAI処理に特化した省電力チップ。推論処理を高効率で実行します。

  • 代表製品:Apple Neural Engine、Qualcomm Hexagon、Intel NPU
  • 得意分野:デバイス上でのリアルタイム推論(顔認識、音声認識等)
  • 特徴:省電力、低遅延、プライバシー保護(データをクラウドに送らない)
  • 価格帯:デバイスに内蔵(単体販売なし)

GPU・TPU・NPU比較表

GPU・TPU・NPU比較表

3種類のAI半導体を比較します。

項目 GPU TPU NPU
主な用途 学習・推論(データセンター) 学習・推論(Google Cloud) 推論(エッジデバイス)
代表企業 NVIDIA、AMD Google Apple、Qualcomm、Intel
汎用性 ◎ 高い △ Google製品向け ○ デバイス向け
演算性能 ◎ 最高 ○ 高い △ 中程度
省電力性 △ 高消費電力 ○ 効率的 ◎ 最も省電力
入手性 ○ 購入可能 △ クラウドのみ × デバイス内蔵
価格 高額 時間課金 デバイス価格に含む

主要AI半導体メーカーと製品

主要AI半導体メーカーと製品

AI半導体市場の主要プレイヤーと代表製品を紹介します。

NVIDIA(エヌビディア)

AI半導体市場で圧倒的なシェアを持つリーダー企業。データセンター向けGPUで約80%のシェアを誇ります。

  • H100:現行の最高性能GPU。ChatGPTなど大規模LLMの学習に使用
  • Blackwell(B100/B200):2024年発表の次世代アーキテクチャ。H100の2〜3倍の性能
  • CUDA:独自のプログラミング環境で開発者を囲い込み

AMD

NVIDIAの最大の競合。MI300シリーズでデータセンター市場に本格参入。

  • MI300X:192GBの大容量メモリを搭載。大規模モデルに適する
  • MI300A:CPU・GPU統合チップ。HPC向け
  • ROCm:オープンソースの開発環境でCUDA代替を狙う

Google

自社クラウドサービス向けにTPUを開発・運用。

  • TPU v5p:最新世代。Geminiなど自社AIの学習に使用
  • TPU v4:一般ユーザーもGoogle Cloud経由で利用可能

Intel

CPU大手がAI市場に本格参入。Gaudi シリーズを展開。

  • Gaudi 3:H100に対抗するAIアクセラレータ
  • Core Ultra:PC向けCPUにNPUを統合

Apple

iPhoneやMacに搭載するNPUで、デバイス上AI処理のリーダー。

  • Neural Engine:A17/M3チップに搭載。毎秒35兆回の演算
  • Core ML:開発者向けフレームワークでエコシステム構築

Qualcomm

スマートフォン向けSoCにNPUを統合。Androidデバイスの多くに採用。

  • Hexagon NPU:Snapdragon 8 Gen 3に搭載
  • Snapdragon X Elite:PC向けSoCでIntelに対抗

AI半導体の選び方:用途別ガイド

AI半導体の選び方:用途別ガイド

用途に応じた最適なAI半導体の選び方を解説します。

大規模モデルの学習(LLM、画像生成AI等)

推奨:NVIDIA GPU(H100、A100)

大規模言語モデル(GPT-4、Gemini等)や画像生成AI(Stable Diffusion等)の学習には、最高性能のGPUが必要です。H100が現時点での最高峰ですが、供給不足で入手困難。AMDのMI300Xも有力な代替選択肢です。

推論サービスの運用(API提供等)

推奨:NVIDIA GPU(L40S、A10)またはTPU

学習済みモデルの推論には、学習ほどの性能は不要。コストパフォーマンスに優れたミッドレンジGPUや、Google Cloudを利用する場合はTPUが選択肢になります。

エッジデバイスでのAI処理

推奨:NPU搭載デバイス

スマートフォンやPCでのリアルタイムAI処理には、NPU搭載デバイスが最適。Apple Neural Engine、Qualcomm Hexagon、Intel NPUなどが選択肢です。

研究・開発(個人・中小企業)

推奨:NVIDIA RTX 4090またはクラウドGPU

コンシューマ向けGPUの最高峰RTX 4090(約30万円)で小〜中規模の学習が可能。大規模な学習はAWS、Google Cloud、Azure等のクラウドGPUをオンデマンドで利用するのが効率的です。

AI半導体の今後のトレンド

AI半導体の今後のトレンド

AI半導体市場の今後の動向を予測します。

チップレット技術の進化

複数の小さなチップを組み合わせて1つの大きなプロセッサを構成する「チップレット」技術が主流化。歩留まり向上とコスト削減を実現します。AMDのMI300シリーズがこの技術を採用しています。

省電力化の進展

データセンターの電力消費が社会問題化する中、省電力AI半導体の開発が加速。Arm ベースのAIチップや、アナログAIチップなど新技術が登場しています。

国産AI半導体の台頭

日本ではPreferred Networks(PFN)のMN-Core、Rapidusの先端ロジック半導体など、国産AI半導体の開発が進んでいます。経済安全保障の観点からも注目されています。

専用チップの増加

特定用途に最適化した専用AI半導体(ASIC)の開発が増加。Amazon(Trainium、Inferentia)、Microsoft(Maia)、Tesla(Dojo)など、大手テック企業が自社開発を進めています。

よくある質問

よくある質問

Q. 個人がAI開発を始めるにはどのGPUを買えばいいですか?

予算と用途によりますが、入門用にはRTX 4060(約5万円)、本格的な開発にはRTX 4090(約30万円)がおすすめです。クラウドGPUから始めるのも良い選択です。

Q. NVIDIAのGPUが入手困難と聞きますが、代替手段はありますか?

AMDのMI300X、Google CloudのTPU、AWS/AzureのクラウドGPUが代替選択肢です。また、Intelの Gaudi 3も今後有力な選択肢になる可能性があります。

Q. TPUはGoogleユーザーしか使えないのですか?

TPUはGoogle Cloud経由でのみ利用可能で、物理的な購入はできません。ただし、Google Cloudのアカウントがあれば誰でもTPUを利用できます。TensorFlowやJAXとの相性が良いです。

Q. iPhoneのNeural EngineとAndroidのNPUはどちらが優れていますか?

2026年時点では、AppleのNeural Engine(A17 Pro、M3)が性能面でリードしています。ただし、Qualcommも急速に追い上げており、差は縮まっています。

Q. AI半導体に投資するなら、どの企業がおすすめですか?

NVIDIA(NVDA)が市場リーダーですが、株価に成長期待が織り込まれています。AMD(AMD)、Broadcom(AVGO)、TSMC(TSM)なども有力な投資先です。分散投資を推奨します。

まとめ

まとめ

AI半導体は、GPU、TPU、NPUなど用途に応じた様々な種類があります。大規模学習にはNVIDIA GPU、Google環境ではTPU、エッジデバイスではNPUと、適材適所で選択することが重要です。

NVIDIAが市場を支配する現状ですが、AMD、Google、Intel、Apple、Qualcommなど競合も急速に追い上げており、今後数年で勢力図が変わる可能性があります。AI半導体の進化がAI技術全体の発展を牽引しており、今後も注目すべき分野です。

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