AINOW(エーアイナウ)編集部です。2025年、AIコーディングツールの選択肢が大きく広がっています。Googleが公開した無料のGemini CLIと、Anthropicが提供する高品質なClaude Code。どちらも開発者の生産性を劇的に向上させる可能性を秘めていますが、それぞれに異なる特徴と強みがあります。本記事では、実際の使用体験と詳細な比較を通じて、あなたの開発スタイルに最適なツールを選ぶための指針をお伝えします。
この記事のサマリー
- Gemini CLIとClaude Codeの機能・性能・コストを徹底比較
- 実際の開発体験とユースケース別の推奨ツールを紹介
- 2025年のAIコーディングツール選びの最新ガイドライン
Gemini CLIとClaude Codeの基本概要

Gemini CLI:無料で使えるオープンソースAIエージェント
Googleが2025年6月にMITライセンスで公開したGemini CLIは、開発者コミュニティに大きな衝撃を与えました。GitHubでフルソースが公開されており、拡張コマンドもPRで増え続けているオープンソースのAIエージェントです。
最大の特徴は、デフォルトでGemini 2.5 Proモデルを呼び出し、1Mトークンまでの巨大コンテキストをハンドリングできることです。無料プレビュー枠は60 req/min・1,000 req/日と業界最大級の規模を誇ります。
ただし、3〜4回の重い対話後に軽量版Flashへフォールバックしやすいという報告も早くも上がっており、長時間の開発セッションでは注意が必要です。
Claude Code:高品質な推論を武器にする有料ツール
Anthropicが提供するClaude Codeは、npm一発で導入できるターミナルAIです。Opus 4をベースに「ファイル編集」「テスト実行」などエージェント的操作を自動化します。
料金はClaude Pro(月額20 USD / 年払い換算17 USD)に含まれ、追加でClaude Max(月100 USD・月200 USD)にアップグレードすれば組織内共有や優先キューが付きます。
コード理解用に最適化された推論と、明示的承認なしにファイルを書き換えない安全設計が特徴で、Claude Codeの詳細な使い方については別記事で詳しく解説しています。
モデル性能とコンテキスト長の比較

コンテキスト長とコードベンチマーク結果
指標 | Gemini 2.5 Pro | Gemini 2.5 Flash | Claude Opus 4 |
---|---|---|---|
最大コンテキスト | 1M token | 128k token相当 | 200k token |
コードベンチ(HumanEval++) | 85.1% | 62.3% | 87.4% |
Gemini Proは大規模コードベース丸ごとを一度に流し込める利点が大きいですが、思考ステップが長くなるとFlashへ切替わるため一貫性が落ちやすい傾向があります。
一方、Claude Opus 4はトークン上限が劣るものの、企画→テスト生成→リファクタまで一連の流れを崩さず対話できるとの報告が多いです。
実際の開発体験での違い
筆者の実測では、Gemini CLIは3〜4回の重対話でFlashへ降格し、長いリファクタでは途中で文脈が切れるケースが散見されました。一方、Claude Codeは2,000行規模のNext.jsプロジェクトを丸ごと読み込み、Lint修正→テスト生成まで20分弱で終えられました。
開発体験とターミナルでの機能比較

主要機能の実装状況
機能 | Gemini CLI | Claude Code |
---|---|---|
コード生成/補完 | ○ | ◎ |
既存コード探索 | △(grep連携が中心) | ◎(プロジェクトスキャン+要約) |
テスト自動生成 | プラグインで可 | 標準コマンドclaude test |
マルチファイル修正 | △(対話内で手動指示) | ◎(提案→一括diff適用) |
IDE連携 | VS Code拡張が準備中 | VS Code/JetBrainsプラグインβ提供 |
ワークフローの違い
Gemini CLIは「対話をターミナルの一行コマンド化」する思想で、gai "Add caching to search"
のように自然言語→bash/JSスニペットを即時生成するワークフローが心地よいです。
一方、Claude Codeは対話UIを保ちながら、裏でテスト実行やgit add -p
を自動化する”半自律型”エージェントであり、長いリファクタを任せやすい設計になっています。
料金・課金モデルの現実的な比較

Gemini CLIの課金体系
Gemini CLIは無料枠が豪華ですが、長時間のペアプロ用途ではAPI費用が跳ね上がりやすい特徴があります。
- API従量課金:Proモデルは入力$1.25/100万token・出力$10/100万token
- Google AI Proサブスク:月19.99 USDで2TBストレージと高レートリミットが付属
CLIから呼び出す場合でもAPI従量が上乗せされる点に注意が必要です。
Claude Codeの料金体系
Claude Codeは定額+API課金のバランスが取りやすく、試算すると月200 USD以内で中規模プロジェクトを常時アシストできました。
- Claude Pro月20 USD(年払い17 USD)にClaude Codeが含まれる
- Claude Max月100-200 USD Claude Code のOpusが実質使い放題(2025年6月現在)
- APIはOpus 4が$15/100万token(出力)程度
CLIで大量生成を走らせると追加課金されますが、編集・テスト中心ならコストは安定します。
拡張性とコミュニティの比較

Gemini CLIのオープンソース文化
Gemini CLIはOSSなので独自コマンドをPython/Typerで追加→PR可能です。Issueも48時間以内にGoogle社員がレビューする体制が敷かれており、GitHub Copilotのような開発者コミュニティの活発な貢献が見られます。
Google AI StudioやVeo等との連携が進めば「コード生成+動画自動解説」など新しいDevExが見えてくる可能性があります。
Claude Codeの公式サポート
Claude Codeはソース非公開ですが、公式ブログでベストプラクティスが頻繁に更新されるため学習コストは低いです。Opus 4.5以降のパフォーマンス向上計画が公表されており、引き続き「質」の面ではトップを走りそうです。
ユースケース別の推奨ツール

小規模OSSプロトタイプ向け
推奨:Gemini CLI
無料枠+1Mトークンで一気に全コードを渡せるため試行錯誤が速いです。Replit Agentのような開発環境との組み合わせで、プロトタイプ開発の効率が大幅に向上します。
中〜大規模SaaSの長期開発向け
推奨:Claude Code
長時間のリファクタ・コードレビューを安定品質で任せられます。Cursor AIとの併用で、より高度な開発支援が可能です。
社内教育・研修向け
推奨:Gemini CLI
Googleアカウントだけで即利用でき、学習コストが低いです。無料で使えるため、AI活用した副業の学習にも最適です。
本番リリース前の品質保証向け
推奨:Claude Code
テスト生成・diff承認フローが安全で、Claude Codeの詳細レビューでも確認できるように、品質重視の開発に適しています。
今後の展望と選び方の指針

現状の結論
品質重視ならClaude Code、コスト/OSS文化重視ならGemini CLIという住み分けが明確になっています。
Gemini CLIの伸びしろとして、コミュニティ主導のプラグインが充実すれば、品質面のギャップも急速に縮まる可能性があります。
半年後の再評価ポイント
Gemini CLIの高速なOSS開発サイクル次第では勢力図が大きく変わる可能性も高いです。特に以下の点に注目すべきです:
- Pro→Flashへの自動降格問題の改善
- コミュニティプラグインの充実度
- Google AI Studioとの連携強化
一方、Claude Codeは引き続き「質」の面ではトップを走りそうですが、ソース開示がないため外部拡張が限定的という課題は残ります。
まとめ:開発者にとっての最適な選択

結局のところ「安定稼働が最優先ならClaude、先行投資を抑えつつOSSで伸びしろを追うならGemini」という二択に落ち着きます。
筆者の実測では、Claude Codeは費用API含め月180 USD程度で中規模プロジェクトを常時アシストできました。一方、Gemini CLIは無料枠こそ豪華でも、長時間のペアプロ用途ではAPI費用が跳ね上がりやすいため、月30 USD上限を決めておく運用が現実的です。
半年後には再評価必至ですが、現時点では開発スタイルと予算に応じて選択するのが賢明でしょう。Agent-to-Agentの時代において、これらのツールは開発者の生産性向上に大きく貢献することが期待されています。