ainow

警備・巡回ロボット入門|自律監視技術の最前線【2026年】

警備・巡回ロボット入門|自律監視技術の最前線【2026年】

AINOW(エーアイナウ)編集部です。人手不足が深刻化する警備業界において、警備ロボットの導入が急速に進んでいます。本記事では、警備ロボットの基礎知識から最新技術、主要製品の比較、導入事例、コスト・効果まで徹底解説します。施設管理や警備体制の見直しを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事のサマリー

  • 警備ロボットの種類(屋内巡回型・屋外巡回型・固定監視型)と特徴を網羅解説
  • SECOM、ALSOK、Mira Robotics、Knightscopeなど主要製品を徹底比較
  • 導入コスト・人件費削減効果・法規制まで、実務に必要な情報を完全収録

警備ロボットとは?

警備ロボットとは、施設内外の巡回・監視・異常検知を自律的に行うロボットシステムの総称です。AI、センサー技術、自律移動技術を組み合わせ、従来は人間の警備員が担っていた業務を代替・補完します。2020年代以降、人手不足の深刻化と技術の成熟により、オフィスビル、商業施設、工場などで導入が加速しています。

警備ロボットの定義と役割

警備ロボットは、主に以下の機能を担います。

警備ロボットの市場規模は、2025年に世界で約50億ドル、2030年には100億ドル超に達すると予測されており、CAGR(年平均成長率)は約15%と高い成長率を維持しています。

人間の警備員との違い

警備ロボットと人間の警備員には、それぞれ得意・不得意があります。

項目 警備ロボット 人間の警備員
稼働時間 24時間365日(充電時間除く) 8〜12時間/日(交代制)
疲労・集中力低下 なし あり
臨機応変な対応 限定的 得意
人とのコミュニケーション 基本的な案内程度 高度な対応可能
データ収集・記録 自動・正確 手動・ばらつきあり
初期コスト 高い 低い(採用費)
ランニングコスト 比較的低い 人件費が継続発生

最適な警備体制は、ロボットと人間の警備員を組み合わせた「ハイブリッド型」です。ロボットは定型的な巡回・監視を担当し、人間は判断が必要な対応や来訪者対応を担当する役割分担が効果的です。

AINOW編集部
警備ロボットは「人間の代替」ではなく「人間の能力を拡張するツール」として捉えるのが導入成功のポイントです。

警備ロボットの種類

警備ロボットは、使用環境や機能によって大きく3つのタイプに分類されます。施設の特性や警備ニーズに応じて最適なタイプを選択することが重要です。

屋内巡回型

屋内巡回型は、オフィスビル、商業施設、病院などの屋内環境を自律的に巡回する警備ロボットです。

屋内巡回型は、AGV・AMRの自律移動技術を応用しており、SLAM技術により施設内のマップを自動生成し、効率的な巡回ルートを計画します。

屋外巡回型

屋外巡回型は、駐車場、工場敷地、建設現場など屋外環境を巡回する警備ロボットです。

屋外型は天候や路面状況への対応が必要なため、屋内型より高度なハードウェア設計が求められます。また、広い敷地をカバーするため、バッテリー容量や充電ステーションの配置も重要な検討事項です。

固定監視型

固定監視型は、特定のポイントに設置され、そのエリアを集中的に監視するタイプです。

固定監視型は、移動型と組み合わせることで、重要ポイントの常時監視と施設全体の巡回を両立できます。

警備ロボットの技術要素

警備ロボットは、複数の先端技術を組み合わせて実現されています。ここでは、主要な技術要素について解説します。

自律移動技術(SLAM、経路計画)

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は、ロボットが自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術です。警備ロボットの自律巡回の基盤となります。

経路計画では、A*アルゴリズムやRRT(Rapidly-exploring Random Tree)などを使用し、障害物を回避しながら最適ルートを計算します。詳しくはSLAM技術の詳細解説をご覧ください。

センサー技術(カメラ、LiDAR、赤外線)

警備ロボットには多様なセンサーが搭載されています。

センサー種類 主な用途 特徴
RGBカメラ 映像記録、顔認識 可視光撮影、4K/8K対応
赤外線カメラ 暗所監視、発熱検知 夜間・暗所でも撮影可能
LiDAR 障害物検知、マッピング 高精度な距離測定
超音波センサー 近距離障害物検知 低コスト、透明物体検知可能
マイク 異常音検知、音声認識 ガラス破損音、悲鳴検知
煙・ガスセンサー 火災・ガス漏れ検知 早期警報に有効

センサーの詳細については、ロボットセンサー技術ガイドも参考にしてください。

異常検知AI

警備ロボットの「目」となるのが異常検知AIです。深層学習を活用し、以下のような検知を実現しています。

最新のAIモデルでは、誤検知率1%以下、検知率99%以上を実現する製品も登場しています。エッジAIにより、クラウドに送信せずロボット本体で推論を完結させ、リアルタイム性とプライバシー保護を両立しています。

主要製品比較

日本国内外で展開されている主要な警備ロボット製品を比較します。導入検討の参考にしてください。

SEQSENSE(SECOM)

SECOMが提供する自律巡回警備ロボットです。

SQ-2(ALSOK)

ALSOKが開発した警備ロボットシリーズの最新モデルです。

ugo(Mira Robotics)

スタートアップのMira Roboticsが開発した遠隔操作型警備ロボットです。

Knightscope(海外)

米国Knightscope社の警備ロボットで、屋外巡回に強みを持ちます。

製品名 メーカー タイプ 特徴 価格帯
SEQSENSE SECOM 屋内巡回型 監視センター連携 月額制(要問合せ)
SQ-2 ALSOK 屋内巡回型 案内機能付き 月額制(要問合せ)
ugo Mira Robotics 屋内巡回型 遠隔操作対応 月額30〜50万円
Knightscope K5 Knightscope 屋外巡回型 抑止効果大 月額約9,000ドル
AINOW編集部
国内大手2社(SECOM・ALSOK)は警備サービスとのパッケージ提供のため、トータルコストで比較することが重要です。

導入事例

警備ロボットは様々な施設で導入が進んでいます。業種別の代表的な事例を紹介します。

オフィスビル

事例:三井不動産 日本橋三井タワー

夜間の無人時間帯に警備ロボットが自律巡回を実施。各フロアを30分間隔で巡回し、異常があれば管理センターへ自動通報します。

商業施設・モール

事例:イオンモール幕張新都心

営業時間中は案内ロボットとして、閉店後は警備ロボットとして稼働するハイブリッド運用を実施。

工場・倉庫

事例:トヨタ自動車 田原工場

広大な工場敷地内を複数台の警備ロボットが協調して巡回。侵入検知と火災監視を24時間体制で実施。

空港・駅

事例:成田国際空港

出発ロビー、到着ロビーに警備ロボットを配置。不審者・不審物の検知に加え、多言語案内機能も活用。

導入コストと効果

警備ロボット導入を検討する際に最も重要なのが、コストと効果の見積もりです。

初期費用・運用費

コスト項目 購入型 リース/サブスク型
本体価格 500〜2,000万円/台 月額20〜80万円/台
導入設定費 50〜200万円 含まれることが多い
充電ステーション 30〜100万円 含まれることが多い
保守・メンテナンス 年間50〜100万円 含まれることが多い
システム連携 100〜500万円 別途見積もり

多くのメーカーがサブスクリプション(月額課金)モデルを提供しており、初期投資を抑えて導入できます。

人件費削減効果

警備員の人件費と比較した場合の削減効果を試算します。

項目 警備員(24時間体制) 警備ロボット
必要人数/台数 4〜5名(3交代制+予備) 1〜2台
月額コスト 120〜180万円 30〜80万円
年間コスト 1,440〜2,160万円 360〜960万円
削減率 約50〜75%

ただし、警備ロボットは人間の警備員を完全に代替するものではありません。最適な組み合わせは、ロボット1〜2台+人間の警備員1〜2名のハイブリッド体制です。

24時間監視のメリット

警備ロボットによる24時間監視には、コスト削減以外にも多くのメリットがあります。

AINOW編集部
ROI計算では人件費だけでなく、保険料削減や事故予防による損失回避も考慮しましょう。

導入時の注意点

警備ロボットを導入する際には、法規制やプライバシー、運用面での注意が必要です。

法規制(警備業法)

日本において警備業を行うには警備業法の遵守が必要です。警備ロボットに関する主要なポイントは以下の通りです。

警備ロボット導入時は、警備業法に精通した専門家や警備会社との相談を推奨します。

プライバシー配慮

警備ロボットは映像・音声を収集するため、プライバシーへの配慮が不可欠です。

人間警備員との連携

警備ロボットの効果を最大化するには、人間の警備員との適切な連携が重要です。

最新動向(2026年)

警備ロボット業界は急速に進化しています。2026年時点での最新トレンドを紹介します。

ドローン連携

地上を走行する警備ロボットと、空中から監視するドローンを連携させるシステムが実用化されています。

複数台協調

複数の警備ロボットが相互に通信し、効率的に施設全体をカバーするシステムです。

生成AI活用

ChatGPTなどの生成AIを活用した次世代警備ロボットの開発が進んでいます。

AINOW編集部
2026年は「単体の警備ロボット」から「システムとしての警備ソリューション」への転換点と言えます。

まとめ|警備ロボット選定のポイント

警備ロボットは、人手不足の解消と警備品質の向上を両立できる有力なソリューションです。最後に、導入検討時の選定ポイントをまとめます。

  • 施設特性に合ったタイプ選定:屋内/屋外、施設規模に応じた最適タイプを選択
  • 既存警備体制との連携:人間の警備員との役割分担、エスカレーションルールを設計
  • コスト試算の徹底:初期費用・ランニングコスト・人件費削減効果を総合的に評価
  • 法規制・プライバシーへの配慮:警備業法、個人情報保護法への準拠を確認
  • 将来の拡張性:複数台連携、ドローン連携、AI機能追加への対応可否を確認

警備ロボット市場は今後も急成長が見込まれ、製品の性能向上とコスト低下が進んでいます。まずは小規模なPoC(概念実証)から始め、効果を検証しながら段階的に導入を拡大することが成功への近道です。

警備ロボットの基盤技術である自律移動についてはAGV・AMRガイド、センサー技術についてはロボットセンサーガイドも合わせてご覧ください。

よくある質問

Q. 警備ロボットは人間の警備員を完全に代替できますか?

A. 現時点では完全な代替は難しく、ハイブリッド運用が最適です。ロボットは定型的な巡回・監視を担当し、人間は臨機応変な判断・対応を担当する役割分担が効果的です。

Q. 警備ロボットの導入コストはどのくらいですか?

A. 購入の場合は1台500〜2,000万円、サブスク型は月額20〜80万円が目安です。大手警備会社のサービスでは、監視センター連携を含めた月額制が一般的です。

Q. 小規模な施設でも導入できますか?

A. 可能です。最近は中小規模施設向けのコンパクトモデルや、月額数十万円からのサブスクプランも登場しています。まずはPoC(概念実証)から始めることをお勧めします。

Q. 警備ロボットにはどのような法規制がありますか?

A. 警備業法では現在、ロボット単体は「警備員」に該当しませんが、機械警備業務として規制の対象となる場合があります。導入時は警備会社や専門家に相談することを推奨します。

Q. 夜間や暗所でも監視できますか?

A. はい、多くの警備ロボットは赤外線カメラを搭載しており、暗所でも監視可能です。また、照明を搭載したモデルもあります。

AGV・AMRとは?違いと選び方、主要メーカー、導入コストを徹底解説【2026年最新】
AGV(無人搬送車)とAMR(自律走行ロボット)は、製造業・物流業の自動化を支える移動ロボットです。本記事では、AGVとAMRの違い、導入メリット、主要メーカー、選定ポイント、導入コストまで徹底解説します。 AGV・AMRとは AGV(Au...
ロボットセンサー技術入門|視覚・触覚・力覚センサー完全ガイド【2026年】
ロボットセンサーは、ロボットが環境を認識し、適切に動作するための「感覚器官」です。自動運転、産業用ロボット、サービスロボットなど、あらゆるロボットシステムの性能を左右する重要技術です。本記事では、主要なセンサー技術の原理、特徴、選定ポイント...
倉庫ロボット・物流ロボット完全ガイド|種類・導入コスト・ROI計算【2026年】
倉庫ロボット(物流ロボット)は、EC需要の急増と人手不足を背景に急速に普及しています。Amazon Robotics、Geek+、ラピュタロボティクスなど主要プレイヤーの製品比較から、導入コスト・ROI計算、選定ポイントまで徹底解説します。...
Exit mobile version