介護・リハビリロボットは、高齢化が進む社会において介護者の負担軽減と被介護者のQOL向上を実現する重要な技術です。移乗支援、歩行支援、見守り、コミュニケーションなど多様な領域で実用化が進んでいます。本記事では、介護ロボットの種類から導入事例、最新動向まで徹底解説します。
介護ロボットとは?市場と背景
介護ロボットは、介護現場での身体的・精神的負担を軽減し、被介護者の自立支援を行うロボット技術の総称です。
介護ロボットが求められる背景
| 課題 | 現状 | ロボットの役割 |
|---|---|---|
| 介護人材不足 | 2025年に約32万人不足見込み | 業務効率化、省人化 |
| 介護者の負担 | 腰痛等の身体的負担が深刻 | 移乗支援、見守り自動化 |
| 高齢者の増加 | 2025年に高齢者人口3,600万人 | 自立支援、QOL向上 |
| 在宅介護ニーズ | 施設不足、在宅希望増加 | 見守り、遠隔支援 |
介護ロボットの市場規模
- 2026年国内市場:約1,500億円(推定)
- 2030年予測:約4,000億円
- 成長率:年率15〜20%
- 主要セグメント:移乗支援、見守り、歩行支援
フィジカルAIの進展により、介護ロボットの知能化が加速しています。
介護ロボットの分類
厚生労働省の分類に基づき、介護ロボットは主に6つの領域に分類されます。
介護ロボット6分野
| 分野 | 対象 | 主な機器 |
|---|---|---|
| 移乗支援 | 介護者 | 装着型パワーアシスト、非装着型リフト |
| 移動支援 | 被介護者 | 歩行アシスト、電動車いす |
| 排泄支援 | 被介護者 | 排泄予測、自動排泄処理 |
| 見守り・コミュニケーション | 両方 | 見守りセンサー、コミュニケーションロボット |
| 入浴支援 | 介護者 | 入浴介助ロボット |
| 介護業務支援 | 介護者 | 記録支援、搬送ロボット |
移乗支援ロボット
移乗支援ロボットは、ベッドから車いすへの移動など、介護者の腰への負担が大きい動作を支援します。
装着型(パワーアシストスーツ)
| 製品名 | メーカー | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| HAL介護支援用 | CYBERDYNE | 生体電位センサー、自律動作 | レンタル月5万円〜 |
| マッスルスーツEvery | イノフィス | 空気圧式、軽量 | 約15万円 |
| ATOUN MODEL Y | パナソニック | 電動、歩行時も使用可 | 約60万円 |
| 楽衛門 | ダイヤ工業 | 非電動、シンプル | 約5万円 |
非装着型(移乗リフト)
| 製品名 | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| Hug T1 | FUJI | 抱え上げ式、立位移乗 |
| ロボヘルパー Sasuke | マッスル | シート式、水平移乗 |
| 離床アシストベッド | パラマウントベッド | ベッド一体型 |
ソフトロボティクス技術により、より柔らかく安全な移乗支援が可能になっています。
歩行支援ロボット
歩行支援ロボットは、歩行機能が低下した方の移動を支援し、リハビリテーションを促進します。
歩行支援ロボットの種類
| タイプ | 特徴 | 対象者 |
|---|---|---|
| 装着型 | 下肢に装着、歩行動作をアシスト | 脳卒中、脊髄損傷 |
| 歩行器型 | 歩行器に電動アシスト機能 | 筋力低下、バランス不良 |
| 外骨格型 | 全身を支える外骨格 | 重度麻痺 |
主要製品
| 製品名 | メーカー | タイプ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| HAL下肢タイプ | CYBERDYNE | 装着型 | 生体電位制御、医療機器認証 |
| Honda歩行アシスト | 本田技研 | 装着型 | 軽量、リハビリ用 |
| RT.1/RT.2 | RT.ワークス | 歩行器型 | 自動ブレーキ、GPS見守り |
| Tree | Ree Technology | 歩行器型 | AIによる歩行分析 |
| ReWalk | ReWalk Robotics | 外骨格型 | 対麻痺者の自立歩行 |
見守り・コミュニケーションロボット
見守りロボットは、被介護者の安全を監視し、異常時に通知します。コミュニケーションロボットは、会話や認知機能訓練を行います。
見守りセンサー・システム
| 製品名 | メーカー | 検知方式 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 眠りSCAN | パラマウントベッド | マット型センサー | 睡眠状態、離床検知 |
| 見守りケアシステム M-2 | アイホン | カメラ+センサー | 顔認識、行動検知 |
| Neos+Care | ノーリツプレシジョン | 近赤外線カメラ | シルエット表示でプライバシー配慮 |
| aams | バイオシルバー | 非接触センサー | 生体情報検知 |
コミュニケーションロボット
| 製品名 | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| PALRO | 富士ソフト | 会話、レクリエーション、認知機能訓練 |
| LOVOT | GROOVE X | 愛着形成、癒し |
| Pepper | ソフトバンクロボティクス | 会話、レク支援 |
| Sota | ヴイストン | 小型、プログラム可能 |
| PARO | 産総研発 | アザラシ型、セラピー効果 |
ヒューマノイドロボットも将来的に介護分野での活用が期待されています。
排泄支援ロボット
排泄支援は、被介護者の尊厳と介護者の負担軽減の両面で重要な分野です。
排泄支援機器の種類
| 種類 | 機能 | 代表製品 |
|---|---|---|
| 排泄予測 | 膀胱の状態を検知、排泄タイミング予測 | DFree(トリプル・ダブリュー・ジャパン) |
| 排泄検知 | 排泄を検知して通知 | Helppad(パラマウントベッド) |
| 自動排泄処理 | 排泄物を自動で処理 | キュラコ、Minelet |
| トイレ誘導支援 | トイレへの移動・着座支援 | トワレ(TOTO) |
排泄予測デバイス「DFree」
- 超音波センサーで膀胱の尿量を測定
- スマートフォンに通知
- 適切なタイミングでトイレ誘導
- 尊厳を守る排泄ケアを実現
リハビリテーションロボット
リハビリロボットは、脳卒中や骨折後の機能回復訓練を支援します。
リハビリロボットの分類
| 対象部位 | 主な製品 | 特徴 |
|---|---|---|
| 上肢 | ReoGo-J、CoCoroe AR2 | 肩・肘・手首の可動域訓練 |
| 下肢 | HAL、Lokomat | 歩行訓練、トレッドミル |
| 手指 | Hand of Hope、gloreha | 細かい運動機能回復 |
| 体幹 | CORE Balance | バランス訓練 |
リハビリロボットの効果
- 反復訓練:一定の質で大量の反復が可能
- 定量評価:客観的なデータで進捗管理
- モチベーション:ゲーム要素で意欲向上
- 安全性:過負荷を防止
- 省人化:セラピストの負担軽減
協働ロボットの技術はリハビリロボットの安全性向上にも貢献しています。
介護ロボット導入のポイント
介護ロボットの導入には、適切な計画と準備が必要です。
導入プロセス
- 課題の明確化:何を解決したいか
- 製品選定:課題に合った製品を比較
- トライアル:デモ・試用で適合性確認
- スタッフ教育:操作方法、安全教育
- 段階的導入:一部から開始し拡大
- 効果検証:導入効果の測定と改善
補助金・支援制度
| 制度 | 対象 | 補助率 |
|---|---|---|
| 介護ロボット導入支援事業 | 介護事業所 | 上限100万円/機器 |
| IT導入補助金 | 中小企業 | 最大450万円 |
| 地域医療介護総合確保基金 | 都道府県 | 自治体により異なる |
導入時の注意点
- 利用者・家族への説明と同意
- スタッフの受容性(抵抗感への対応)
- メンテナンス体制の確保
- 費用対効果の継続的な検証
- 安全対策とリスク管理
介護ロボットの最新動向(2026年)
介護ロボット技術は急速に進化しています。
1. AI・機械学習の活用
- 行動パターン学習による異常検知
- 個人に最適化されたケア提案
- 音声認識による自然な対話
2. センサー技術の高度化
- 非接触バイタルセンシング
- 表情・感情認識
- 転倒予測
3. ヒューマノイドの介護応用
- 人間に近い外見・動作
- 複合的な介護タスク
- 心理的な受容性向上
4. 在宅介護への展開
- 小型・低価格化
- スマートホーム連携
- 遠隔見守りサービス
まとめ|介護ロボットの展望
介護ロボットは、高齢化社会の課題解決に不可欠な技術として発展を続けています。
分野別推奨ロボット
- 腰痛対策 → パワーアシストスーツ
- 夜間見守り → 見守りセンサーシステム
- 認知症ケア → コミュニケーションロボット
- リハビリ強化 → リハビリロボット
- 排泄ケア改善 → 排泄予測・検知
今後の展望
- AI・ロボットの更なる知能化
- 低価格化による普及拡大
- 在宅介護市場への展開
- ヒューマノイドの介護参入
- 国際展開(アジア市場)
関連記事としてEmbodied AIの動向もご覧ください。
https://ainow.jp/cobots/
https://ainow.jp/humanoid-robot-guide/
