「ChatGPT以外にどんなAIがあるの?」「DeepSeekやQwenって何がすごいの?」——2026年、GPT-4やClaudeだけでなく、新興LLMが急速に台頭しています。
本記事では、2026年注目の新興LLM「DeepSeek」「Qwen」「Grok」「Phi」を徹底比較。特徴・性能・料金・向いているユースケースを解説します。
新興LLMとは?なぜ注目されているのか
まずは新興LLMが注目される背景を理解しましょう。
LLM市場の変化
2023年まではOpenAI(GPT)とAnthropic(Claude)が市場を独占していましたが、2024年以降、中国・欧州・オープンソース勢が急速に追い上げています。
2026年現在、専有モデルとオープンソースモデルの性能差は急速に縮小しており、一部のベンチマークではオープンソースモデルがGPT-4oを上回るケースも出てきました。
新興LLMが注目される理由
- コスト効率:GPT-4oの1/10以下の料金で同等性能
- オープンソース:自社サーバーで運用可能
- 特化性能:特定タスクでトップモデルを超える
- 多言語対応:日本語・中国語などの非英語言語に強い
AIエージェントのコスト管理術でも触れていますが、API費用削減の観点から新興LLMへの注目が高まっています。
DeepSeek:コスパ最強の中国発LLM
中国のAI企業「深度求索(DeepSeek)」が開発するLLMです。
概要
DeepSeekは、約600万ドルという低コストで開発されながら、GPT-4oに匹敵する性能を実現したことで世界的な注目を集めました。
最新バージョン:DeepSeek V3.2、DeepSeek R1(推論特化)
特徴
- 圧倒的な低コスト:入力$0.07/百万トークン(キャッシュヒット時)
- 高い推論能力:R1シリーズは複雑な推論タスクに特化
- 効率的なアーキテクチャ:「細粒度稀疏注意力」で計算効率50%向上
- オープンソース:商用利用可能なライセンス
性能
| ベンチマーク | DeepSeek V3 | GPT-4o比較 |
|---|---|---|
| MMLU | 88.5% | 同等 |
| コーディング | 高い | 同等〜やや上 |
| 数学推論 | 非常に高い | R1は上回る |
料金
| プラン | 入力 | 出力 |
|---|---|---|
| DeepSeek V3 | $0.14/1M tokens | $0.28/1M tokens |
| キャッシュヒット時 | $0.07/1M tokens | – |
GPT-4oと比較して約1/10〜1/20のコストで利用可能です。
向いているユースケース
- コスト重視の大量処理
- 数学・論理推論タスク
- コード生成・レビュー
- ローカル環境での運用
Qwen:多言語最強のアリババ製LLM
中国アリババグループが開発するLLMシリーズです。
概要
Qwen(通義千問)は、119言語に対応し、世界で10万社以上の企業に採用されている大規模LLMです。最新のQwen3シリーズはGPT-4oやDeepSeek V3を多くのベンチマークで上回っています。
最新バージョン:Qwen3-Next、Qwen2.5-Max
特徴
- 119言語対応:日本語を含む多言語で高精度
- MoEアーキテクチャ:1兆パラメータ超ながら効率的
- マルチモーダル:テキスト・画像・音声に対応
- オープンソース:Apache 2.0ライセンス
性能
| ベンチマーク | Qwen3 | 特筆点 |
|---|---|---|
| AIME25(数学) | 92.3% | トップクラス |
| 多言語タスク | 非常に高い | 119言語対応 |
| コーディング | 高い | GPT-4o同等 |
料金
Qwen APIは比較的低コストで提供されており、オープンソース版は無料で利用可能です。
向いているユースケース
- 多言語対応が必要なサービス
- 日本語処理(高精度)
- マルチモーダル処理
- ローカルデプロイ
Grok:リアルタイム情報に強いxAI製LLM
イーロン・マスク率いるxAIが開発するLLMです。
概要
GrokはX(旧Twitter)との統合により、リアルタイムの情報にアクセスできる点が最大の特徴です。ChatGPT Searchと同様に、検索機能を内蔵したAIとして注目されています。
最新バージョン:Grok 4.1(2025年11月リリース)
特徴
- リアルタイム情報:X/Twitterの投稿をリアルタイムで参照
- 低ハルシネーション:幻覚率がGrok 4の12%から4%に低減(65%改善)
- 独特の個性:皮肉やユーモアを交えた回答スタイル
- マルチモーダル:画像理解・生成に対応
性能
| 指標 | Grok 4.1 | 特筆点 |
|---|---|---|
| LMArena Elo | 1483 | 現在1位 |
| EQ-Bench | 1位 | 感情理解に優れる |
| ハルシネーション率 | 約4% | 65%改善 |
料金
GrokはX Premium+(月額$16〜)のサブスクリプションに含まれています。API利用は別途料金が発生します。
向いているユースケース
- 最新情報・トレンド分析
- SNS連携サービス
- リアルタイム性が重要なタスク
- ユーモアのある対話AI
Phi:軽量高性能のMicrosoft製LLM
Microsoftが開発する小型言語モデル(SLM)シリーズです。ローカルLLM入門でも紹介しているOllamaで簡単に動作させることができます。
概要
Phi(ファイ)シリーズは、小さいパラメータ数で大型モデルを超える性能を実現することを目指したモデルです。最新のPhi-4は14.7Bパラメータながら、Gemini 1.5 Flashを上回るベンチマーク結果を出しています。
最新バージョン:Phi-4、Phi-4-mini-flash reasoning
特徴
- 軽量高性能:3.8B〜14.7Bパラメータで大型モデル並みの性能
- 完全オープンソース:MITライセンス(商用利用自由)
- ローカル実行:一般的なPCでも動作可能
- 推論特化版:Phi-4-mini-flash reasoningで推論タスクに対応
モデルバリエーション
| モデル | パラメータ | 特徴 |
|---|---|---|
| Phi-3 Mini | 3.8B | 最軽量、モバイル向け |
| Phi-3 Small | 7B | バランス型 |
| Phi-3 Medium | 14B | 高性能 |
| Phi-4 | 14.7B | 最新・最高性能 |
料金
完全無料(MITライセンス)。Azure AI Studio、Hugging Faceなどから利用可能です。
向いているユースケース
- エッジデバイス・モバイルでのAI
- ローカル環境での軽量AI
- コスト最小化が必要なケース
- プライバシー重視の処理
AIデバイス比較で紹介しているエッジAIとの組み合わせも有効です。
4モデル比較表
4つの新興LLMを一覧で比較します。
| 項目 | DeepSeek | Qwen | Grok | Phi |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | 深度求索(中国) | アリババ(中国) | xAI(米国) | Microsoft(米国) |
| 最新版 | V3.2 / R1 | Qwen3 | Grok 4.1 | Phi-4 |
| 強み | コスパ、推論 | 多言語、汎用 | リアルタイム | 軽量、ローカル |
| ライセンス | オープン | Apache 2.0 | プロプライエタリ | MIT |
| API料金 | 非常に安い | 安い | サブスク込み | 無料 |
| 日本語 | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ |
用途別おすすめモデル
ユースケース別の最適なモデルを紹介します。
コスト重視
DeepSeek → GPT-4oの1/10以下のコストで同等性能
日本語・多言語処理
Qwen → 119言語対応、日本語精度が高い
最新情報が必要
Grok → X/Twitter連携でリアルタイム情報にアクセス
ローカル・エッジ環境
Phi → 軽量で一般PCでも動作、完全無料
推論・数学タスク
DeepSeek R1 または Qwen3 → 複雑な推論に強い
導入時の注意点
新興LLMを導入する際の注意点をまとめます。AIセキュリティリスクも合わせて確認してください。
中国製モデルの利用
- データ送信先:API利用時はデータが中国サーバーに送信される可能性
- 対策:機密データはローカル版を使用、または国内クラウドで運用
ライセンス確認
- 商用利用:ライセンスを必ず確認(Phi: MIT、Qwen: Apache 2.0)
- 改変・再配布:条件を確認してから利用
性能の検証
- ベンチマーク≠実用性能:実際のユースケースでテストが必要
- 日本語性能:英語ベンチマークと日本語性能は異なる場合あり
まとめ
2026年注目の新興LLMを整理します。
| モデル | 一言で言うと | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| DeepSeek | コスパ最強 | API費用を抑えたい |
| Qwen | 多言語の王者 | 日本語処理を重視 |
| Grok | リアルタイムAI | 最新情報が必要 |
| Phi | 軽量無料 | ローカルで動かしたい |
2026年、LLM市場はGPT・Claude一強から群雄割拠の時代へと移行しています。用途に応じて最適なモデルを選ぶことで、コストを抑えながら高い性能を得ることが可能です。
まずは無料で試せるPhiや、低コストのDeepSeekから始めて、自社のユースケースに合ったモデルを見つけてみてください。
